孤独なトランペッター【時透無一郎】

23.最愛のトランペッター ページ24

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生まれ変わったこの世は、
刀なんてもはや飾りになってしまった世界。

めくるめく毎日の中心は人だけで、
それを脅かす鬼は1体として存在しない。



ネクタイを気にしながらAを待つ。

ギイッと音を立てて開いた扉の向こうには、
大好きな彼女がお義父さんと一緒に立っていた。


隊服とは正反対の真っ白なドレスを着て、
手には日輪刀の代わりにキレイなブーケを持って。

アザ1つない真っ白な顔はほんのり桃色。


ずっと見たかった花嫁姿、
まさかこんなに待たされるなんてね。





「では、指輪の交換です」





昔は婚約と言えば簪だったけど、
100年たてばこうも変わるもんかな。

銀色のリングだけで僕の気持ちは表せないけど、
浅葱色の石がはまってるところはすごくいい気分。




「大好きだよ」




何回伝えても言いたりない。
きっとこれからも、ずっとたりないんだ。

それくらい大好きで愛おしくてたまらない。




『私もだよ』




Aの手を持ち上げて、軽く唇を重ねた。


今度こそ最後まで守るから、これを言うのも最後。




「ずっと一緒にいよう」




子供みたいなつたない言葉だけど、
100年越しに叶ったんだししつこいのも許してね。

前世の分も、最高の人生に。





孤独なトランペッター Fin.

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