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「…えぇ!?此れ、全部君が作ったのかい!?」
嬉しそうな声をあげる太宰に、目の前に居たトントンは思わずひき気味に頷く。
今太宰が居るのは食堂。
国の幹部に囲まれながらも目の前の机に並べられた料理を見て目を光らせる太宰は、18歳の面影をちらりと見せている。
「さ、頂こうじゃないか。其れでは_、」
全員が、総統グルッペンの声に揃えて手を合わせる。「いただきます。」と口々に言う男たちに、思わず太宰は目を丸くした。
「…此の国、いただきますの文化があるのかい?……私が立ち寄った店では、全くそんな様子は見られなかったのだけれど。」
「…いただきます、を知っているってことは、もしかして君、
太宰の言葉に、白い軍服を着た青年が声を掛ける。太宰はさらに目を丸くする。
「…驚いた。吃驚だよ本当に。君、
遠く離れた、小さな小さな国_
「そうだよ。俺は
「成程…。ってことは、
疑い深いなぁ、と、白の彼_ひとらんらんは苦笑する。確かに、ずっとW国の言語で話をしていたな、と思いながらも、ひとらんらんは祖国の言語を口にした。
「…何の言葉やあれ、」
「ひとらんの祖国の言語やろ?あの客人も話せるみたいやけど。」
懐かしい祖国の言語で「君、名前は?」と太宰に問うたひとらんらん。太宰もまた、
他の青年達_幹部のメンバーは、ひとらんらんの祖国の言語を話せないし、意味も理解出来ては居ない。つまり、此の言葉が解るのはひとらんらんと太宰の二人だけで在ったのだ。
「へぇ。じゃあ、出身は?」
「……。」
次の問いには、太宰は答えなかった。にこりと、
「…答える気は無い、ってことだね。」
「そう受け取ってくれると有難いよ。」
ピリッとした空気が走る。言語を理解出来ない幹部達でさえ、何かが可笑しいことに気がついて居るようだ。簡単には口を開かない太宰に、ひとらんらんは溜め息を吐いてから料理に手をつけ始めた。
ラッキーカラー
あずきいろ
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めい - 好きです!もっと評価されるべき!次の更新待ってます! (2020年4月5日 21時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
シラゆ - コメント失礼します(小声)表現の仕方や夢主の設定、とても心に刺さりました。勉強不足を感じさせられるほどの語彙力、尊敬します!文スト?を知らない私でも物語にのめり込めました!更新頑張ってください!コメント失礼しました。 (2020年3月31日 9時) (レス) id: dc5a42bdb9 (このIDを非表示/違反報告)
すりーぷ(プロフ) - 好きです……その場その場の背景?が見えて…なんと言うか……とっても綺麗で文ストの雰囲気等も確りとあって……続き楽しみに待ってます…!応援してます、頑張って下さい!(語彙力が無くて…) (2020年3月30日 19時) (レス) id: 6c2b3e4a08 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 情景描写がとっても綺麗で、1話読んだら「あ、これ好きだな」って思いました!文ストの雰囲気を残しつつ独自の世界観もあって続きが楽しみです!!頑張ってください!応援してます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: c77cf16874 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 - あ、好きです。 とっても読み易くて、なんというか…「わあ…!!」となるような感じの……はい。(これが語彙力がない人の見本です) 更新頑張ってください!応援してます。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙藤 | 作成日時:2020年3月27日 2時