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そして週末。
引っ越しの日だ。
...気にくわへんけど。
あの後、コンタミ先輩から聞いたらしいらっだぁ先輩に散々弄られた。
らっだぁ先輩やって陰キャの癖に。
軽くまとめた荷物を手に玄関を出ると、既に色盲さんがいた。
「お、おはよう」
『...おはようございます』
「手伝うよ？これ持っていけばいい？」
『はい』
車に荷物を入れていく色盲さん。
...なんか、鬱の時もそうやけど病名呼ばわりしとるみたいで気ぃ引けるわ。
「ん、全部乗ったら乗っちゃって」
全部荷物を乗せ終わり最後に自分の家を見上げる。
...バイバイ
名残惜しさが残らないように、振り向かずに車に乗る。
「早かったね」
『まぁ...軽くまとめるだけだったんで』
「ふはは、家の息子にも見習ってほしいものだよ」
色盲さんはそう言いながら目的地を選択しこちらを見てきた。
未だ慣れないが、この世界の技術では、もはや人が運転などしなくていいのだ。
「Aちゃん。
早乙女Aから、佐目Aになるんだけど」
佐目、A...
『はい、分かりました』
「う〜ん、固いなぁ...
確かに結婚はしてないから、父さんとまでは言わなくていいんだけど、もう少し柔らかくとかは...」
『すみません...』
「うん、ごめんね。無理強いはしないよ」
色盲さんは優しく笑った。
母さんが好きになったのも分かるかもしれない。
「家の息子には家で待たせてるから、心の準備とかしてほしいかな？」
『分かりました』
うぅー、緊張する...
手のひらに何度も人と書いて飲む。
古いなんてどうでもいい。
少しでも安心できる何かがほしいだけ。
二人でこの空間は辛い。
だからと言って、新しい人二人に囲まれるのも嫌だ。
複雑...
色盲さんはなるべく簡単な話題をくれるけど、話は進まず途切れるばかり。
幼い頃の方が人見知りしてなかったんやけど
いつから人見知りしてもうたんやろ。
あー、もう...
辛い〜、誰かに連絡して心を安定させたいけど、それはなんか気が引ける。
病みそう。
いや、そんや簡単に病みはせぇへんけど。
そういえば、高校は変わらなくて良いらしい。
変わりに距離がばり遠なったけど。
しゃあないよな。
うん。
そんな荒ぶってる私の気持ちを知らずに車は止まった。
「よし、着いたよ、下ろそっか」
色盲さんは車から降りて荷物を下ろし始めた。
それを見て私も車から降り、荷物を下ろし始める。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年1月14日 22時
