オレも！と言えなくて…11 ページ7
潤の寝顔を眺めながら考えたのは、1型糖尿病のこと。
自分の体のリンパ球があやまって内乱を起こし、自分自身のインスリン工場、膵臓にある膵島β細胞、の大部分を破壊してしまうことで発病するんだけど、糖尿病の9割を締める2型糖尿病と混同されることも多い。
生活習慣病でも、先天性の病気でもないし、遺伝することもない。
潤もそうだったけど、ウイルス感染がリンパ球の内乱のきっかけになっている場合が多くて、自己免疫の病気であって感染症ではないから、1型糖尿病が他人にうつることはない。
だけど、勤務医時代に担当した患児の中には『おやつばかり食べてるから病気になるんだよ』って言われたり、『うつるから…』と一緒にプールに入ったりお風呂に入るのを拒否するような発言をされたり…っていう、しなくて良い辛い体験をした子もいた。
どれも病気に対する正しい知識がないことに由来する偏見や差別なんだけど、それが病気そのもののによる身体的負担に加え、精神的負担になるんだ。
今のところ潤がそんな辛い体験をした様子はないけど、これから先も絶対にないとは言い切れない。
それに誰かに何かを言われなくても、潤自身が治療に嫌気がさしたり、自暴自棄になってしまうこともあるかもしれない。
もしもそんなことになった時、俺にできることは何だろう…
なんて、考えてしまってた。
今は、そんなことを考えるより、いかに安定した生活を送れるように手助けしていけるかってことなのに…
結局、俺は仕事に戻ることはできず…
いや、戻る気もなかったかな(笑)
午後の診療も智にぃに代診を頼んで、ずっと潤の横で過ごした。
和も独りにはさせられないから、クリニックのベッドを借りて寝させて、家族全員で急場をしのいだ。
もうすぐ夕食だというのに、一向に目覚めない潤。
低血糖の影響と泣いたことによる疲労。それらの原因が分かってるから、そんなに心配はしないけど…
「潤？お〜い！
もうご飯ですよ〜」
肩を叩いて、声を掛けると何度目かでやっと薄く開いた目(苦笑)
「潤くん？ご飯食べよっか？」
首を傾げてちょっとおどけて言ってみせると、
「食べる…」
って、はっきり答えてくれた。
その顔は、妙にすっきりしていて泣いて放電して、寝て充電完了！、みたいな(笑)
子どもらしくもあり、潤らしくもあるその表情に、親の俺が救われた。
まだ気だるそうな体を起こすのを手伝ってやると、やっと小さく笑ってくれた。
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まぁさ(プロフ) - 何度も戻ってきてしまいます。あの家族に会いたくて。また更新されるのを楽しみにしています。 (2022年2月26日 7時) (
レス) @page8 id: 970a4044af (このIDを非表示/違反報告)
em(プロフ) - 最初から一気に読み直しました！ドキドキハラハラほっこりするお話しで大好きです！また更新されるの楽しみにしています！ (2021年9月2日 21時) (レス) id: 8d8bf5d378 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 最初から読み直しました(*＾▽＾*)また更新されるの楽しみにお待ちしてます☆ (2021年5月9日 8時) (レス) id: f4ca038df0 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - season1の1話目から再度一気読みしてしまいました！続きをまたいつか、楽しみにしています！ (2021年1月16日 13時) (レス) id: 2ec53b58cb (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 前更新されていた時からのファンです。また更新してくださいー！和くん潤くんが見たいです。 (2021年1月15日 6時) (レス) id: 85c9a45f00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2019年6月6日 17時
