オレも！と言えなくて…9 ページ5
何度も何度も頭を撫でてやりながら思ったのは、しつこい位に言って聞かせてきてホントに良かったってこと。
潤が�儀薪�尿病になっておよそ１年。
俺たちがいない場所で低血糖になったのは初めてだった。
だけどいつかこんな日が来ると発病当初から覚悟はしていた。
どんなに気遣って血糖コントロールをしていても防ぎきれないのが低血糖。
まだまだ体が小さい子どもは、ホンの少しのことで大きく血糖値が変動してしまう。
だからもしもの時に備えて繰り返し教えていた。
『おかしいな、って思ったらすぐに安全な場所に移動して人目のつくところで座りなさい』って。
大人には簡単なことだけど。
幼い潤に分かるよう言葉を選び、言い方を変え、時には具体的に…
それこそ数え切れない位言い聞かせていたんだ。
その甲斐あってか、階段のすぐ下の廊下にうずくまっているところを発見された。
たまたまだったのかもしれないけど。
階段の途中でなくて良かった…
たくさん並ぶ下駄箱の間でなくて良かった…
そんな想いがぶわーっと湧き出てきて飽きることなく頭を撫でていた。
ひとり物思いに耽る俺に、
「おい、櫻井！聞いてるのか？
ストレッチャーとか面倒だから抱っこで行くぞ！」
すっかり移動の準備を整えた岡田先生に声を掛けられた。
「あ、はい！」
慌てて抱き上げると、無意識にか俺の首に手を廻そうとする潤。
「おっとっと…
潤くん、手はお腹の上なぁ。
掴まんなくてもパパ、落とさないってよー」
そう言って、引っ張ってしまった点滴ラインを戻し、そっと腕をお腹の上に置いてくれた。
到着したのは元の職場で、気心知れた面々が揃う小児科病棟。
俺たちの姿を見つけて、駆けつけてくれたのは去年の入院で潤を担当してくれていた看護師さん。
「こんにちは。今回も私がプライマリーで付かせてもらいますので、よろしくお願いします」
歩調を合わせるように、俺の横を歩きながら挨拶してくれた。
「こちらこそよろしく…
わがまま王子だから手が掛かるけど(笑)」
俺の言葉に、
「そんなことないよねぇ、潤くん」
って、優しい手つきでほっぺをツンツン。
それに応えるようにパチッと目を開けた潤。
すぐには状況が分からずボーッとしていたけど、病室に着く頃には、
「イヤ〜！おうち帰る〜！」
大泣きを始めた。
「潤、ちょっと…」
突然暴れ出されて慌てる俺に代わって、
「はいはい、そんなに泣かないの。
ちゃーんと説明するから」
って、岡田先生。
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まぁさ(プロフ) - 何度も戻ってきてしまいます。あの家族に会いたくて。また更新されるのを楽しみにしています。 (2022年2月26日 7時) (
レス) @page8 id: 970a4044af (このIDを非表示/違反報告)
em(プロフ) - 最初から一気に読み直しました！ドキドキハラハラほっこりするお話しで大好きです！また更新されるの楽しみにしています！ (2021年9月2日 21時) (レス) id: 8d8bf5d378 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 最初から読み直しました(*＾▽＾*)また更新されるの楽しみにお待ちしてます☆ (2021年5月9日 8時) (レス) id: f4ca038df0 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - season1の1話目から再度一気読みしてしまいました！続きをまたいつか、楽しみにしています！ (2021年1月16日 13時) (レス) id: 2ec53b58cb (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 前更新されていた時からのファンです。また更新してくださいー！和くん潤くんが見たいです。 (2021年1月15日 6時) (レス) id: 85c9a45f00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2019年6月6日 17時
