心に負った深い傷 9 ページ36
リビングを通り抜けた時、にぃたちと目が合ったけど何も言わずにいてくれた。
脱衣室に入っても足でしっかり俺をホールドしている和。
「和、服脱ぐから１回立てる？」
訊くと余計にぎゅーってしがみついてきた(笑)
「ヤなの？どーしてよ…」
困ったなって思ってると、ガチャって音がして翔にぃが登場。
「ちょうど良かった。
脱がしたいんだけど離れなくって…」
「そんなこったろうと思ったから来た」
苦笑いを浮かべて言う翔にぃは流石(笑)
「かず〜パパが脱がすよ？」
急に体に触れることはせず、優しく頭を撫でてやってる翔にぃ。
その大きな手、安心するよな…
俺がそう思うと同時に和もコクコク頷いて脱がされることを了承。
「ん」
それに短く答えた翔にぃの動きに合わせて動けばあっという間に和は裸ん坊に。
その和を無言で受け取ってくれた翔にぃのお陰で俺も楽に服を脱ぐことができた。
「じゃあねって(笑)」
再び受け取った和の手をプラプラ振って、バスルームに入ると、『ふう』って大きな息を吐いた。
翔にぃにも優しくしてもらったことでやっと本当に誰も怒ってないって分かったかな？
サッと体をシャワーで流してやって、
「入ろう」
って、お湯に浸かるように声を掛けると当然のように手を伸ばしてくる。
「あひゃひゃ、抱っこで入るの？」
笑って言うと、
「ん〜ん！」
恥ずかしくなったのか、不機嫌な声を出してパシパシ叩いてくる。
「ごめんごめん、いいよ、おいで？」
先にバスタブに入って手を差し出すと飛び付くように腕の中に収まった。
膝に座らせて、肩にお湯を掛けてやる。
ピチャピチャって水音だけが響いてやけに耳につく。
黙っているのが苦しくなって、
「かずー？
いっぱいお昼寝してちょっとは元気になったか？」
当たり障りなさそうな言葉を選んで話し掛けてみた。
だけど和は押し黙ったまま。
「あ〜分かった！和、昼ごはん食べてないから元気出ないんだ。早く上がって晩ごはん食べよっか、な？」
俺がめっちゃ笑顔で言ったんだけど、それには返事もせず涙をポロポロ零して、
「お漏らし和くん…」
って、ポツリ。
心に刺さったんだろうその言葉を自ら呟いた。
排泄の失敗はそれだけでも自尊心がめちゃめちゃ傷つく。それは俺もイヤって程経験した。
その上、クラスメイトから浴びせられた心ない言葉に和は傷つけられた。
分かっていたことを改めて感じさせられた俺は、和を抱きしめながら、必死で掛ける言葉を探した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 518人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
棗(プロフ) - パスワード申請します 。 いつも、拝見させていただいてます。 (2019年2月14日 20時) (
レス) id: ef140653c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - パスワード申請します。 お願いします。 毎回楽しく読ませて頂いております。 (2019年2月14日 16時) (レス) id: 03009ea5b3 (このIDを非表示/違反報告)
rietan(プロフ) - パスワード申請します いつも楽しみに読ませてもらっています 疲れた心が癒されます (2019年2月14日 0時) (レス) id: 09ada2be90 (このIDを非表示/違反報告)
シナモン(プロフ) - こんばんは。パスワード申請お願いします。いつも、楽しく拝見させて頂いています。ドキドキしたり、ほっこりした気持ちになります。これからも、楽しみにしていますので無理の無いように更新楽しみにしてます。 (2019年2月14日 0時) (レス) id: bd8fca3fd7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - パスワード申請 いつも拝見させていただいてます。 (2019年2月13日 21時) (レス) id: 1d2222a8c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：虹
| 作成日時：2019年1月19日 21時
