新生活本格スタート 3 ページ12
翔サイド
今日も泣き声先行で潤が起きてきた。
それはほぼ毎日のことなんだけど、今日はちょっと放っておけないパターンみたい。
泣きながら膝の上に這い上がってきたと思ったら、首に細い腕を回ししがみついてきた。
「オレだけ、ヒクッ、なんで、ヒクッ、チックンなのぉーぉおお〜うわ〜ん!」
泣き方もいつものぐずぐずとは違って、号泣に近いもの。
近頃は『オレ1年生だから!』を口癖に何でもひとりでやろうと頑張っていた。
その反動もあるのかもしれない。
「どうした潤?
今日はいっぱい涙が出ちゃう?」
俺の質問に答えることはせず、体を上下に揺すってなおも泣き続ける。
「そっか、そっか。今日は泣きたい日なんだな。いいよ、いっぱい泣きな…」
背中を擦ってやりながら、ひとまず様子を見ることに。
泣いてるからやらなくて良いとはならないけど、泣きたいのを我慢してやる必要もない。
時間が許す限り泣かせてやろうと思っていると、思いの外早く泣き声が小さくなり始めた。
「お、泣くの止めたねぇ。偉い偉い」
まだ泣き止むにはほど遠いんだけど、先に褒めちゃう(笑)
潤はその方が立ち直りやすいから。
「今日はチックンするの凄くヤなの?」
「ヤ〜だ〜グスッ」
「そうか、そうだよな。嫌な日もあるよな?」
「じゅんだけ、もん…んな、ないのにヒグッ」
「そうだな、潤だけでみんなしないもんなぁ。でもやらないはないから、どうやってやろうか?パパが手伝う?みんなに応援してもらう?」
しないっていう選択肢がないことを伝え、できる方法を一緒に探す。
『がんばれ』って言うだけじゃあまりにも切ないから『一緒に頑張ろう』を伝えるようにしている。
しばらくそうしていると、和が視界に入ってきて…
そのまますーっと潤の横に来ると、何も言わずに潤の背中に手を当てた。
『泣かないで』とも『がんばれ』とも言わない。
ただ小さなその手を背中に当ててるだけ。
でも不思議と潤の泣き声は小さくなって、
「ぱ、って?」
「ん?パパがやるの?」
俺にやって欲しいって。
「分かったよ…」
道具を取りに行くため、立ち上がろうとすると、顔の横に道具が入ったカゴが差し出された。
「お、サンキュー」
いつの間にか雅紀が持ってきてくれてた。
「じゃ、やるよ?」
潤に視線を戻すと、和としっかり手が繋がれていて、反対の手を俺に差し出してきた。
誰も何も言わない。
だけど空気が柔らかく変化しているように感じられた。
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棗(プロフ) - パスワード申請します 。 いつも、拝見させていただいてます。 (2019年2月14日 20時) (レス) id: ef140653c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - パスワード申請します。 お願いします。 毎回楽しく読ませて頂いております。 (2019年2月14日 16時) (レス) id: 03009ea5b3 (このIDを非表示/違反報告)
rietan(プロフ) - パスワード申請します いつも楽しみに読ませてもらっています 疲れた心が癒されます (2019年2月14日 0時) (レス) id: 09ada2be90 (このIDを非表示/違反報告)
シナモン(プロフ) - こんばんは。パスワード申請お願いします。いつも、楽しく拝見させて頂いています。ドキドキしたり、ほっこりした気持ちになります。これからも、楽しみにしていますので無理の無いように更新楽しみにしてます。 (2019年2月14日 0時) (レス) id: bd8fca3fd7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - パスワード申請 いつも拝見させていただいてます。 (2019年2月13日 21時) (レス) id: 1d2222a8c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹 | 作成日時:2019年1月19日 21時