トラウマ治療(雅紀) 11 ページ44
智サイド
助手席でがっくりと肩を落とし項垂れる雅紀。
僕も何と声を掛けて良いのか分からなくて、車の中には気まずい空気が流れる。
結局ほとんど何の会話をすることもなく、重い空気を纏わせたまま帰って来てしまった。
時計をみれば２時を過ぎていた。
「もうこんな時間になっちゃったね。
遅くなったけど昼ごはん食べようよ」
そう誘っても、
「俺は、いいや。ちょっと寝る」
ボソッと呟くように言って、さっさと２階に上がってしまった。
これは一度きちんと話さないとダメだよなぁ。
今夜、翔が帰って来たら４人で話し合おう。
雅紀が安心して過ごせるように。
そのために僕らに何が出来るのか、を。
夜、子どもたちが寝たあと、雅紀の部屋に向かう。
"ｺﾝｺﾝ"
「雅紀、起きてる？」
そっとドアを開けるとベッドに座って、ぼーっとしている雅紀がいた。
「ちょっとみんなで話してみない？」
その声に反応して立ち上がった雅紀だけど、その瞳は虚ろで、いつもの元気はどこにもない。
無言のままリビングに入り、いつもの席に座る。
「まーにぃ、少しは食べた方が良いよ？」
ゆかがそう言って子どもたちのデザートに作ったゼリーを雅紀の前に置いた。
僕たちにもコーヒーを淹れてくれたゆかが座ったタイミングで、重苦しい空気の中翔が話始めた。
「雅紀？話して欲しい。雅紀が何を不安に思っているのか。
病気の事でもそれ以外の事でも、不安な事は全部言って欲しい。
話したところで俺たちが雅紀の不安を取り除いてあげれるかは分からないけど…
頼むからひとりで苦しまないでくれよ」
そう言われて雅紀は、肩を震わせ涙を溢している。
雅紀の嗚咽だけがリビングに響き、誰も口を開こうとはしない。
どの位の時間が経ったのだろう。
少し落ち着いた雅紀がゆっくりと話始める。
「俺、失くしたくないんだ…
折角、手に入れた家族なのに…嫌なんだ」
「ちょ、ちょっと待って！全然話が見えない。
何で雅紀は家族を失くすと思うの？」
焦った翔が早口に言う。
それに答えられない雅紀に代わって、
「雅紀はね、みんなに迷惑掛け続けてると見捨てられるんじゃないかって。
またひとりぼっちになるんじゃないかって心配なんだって」
って、僕が代弁する。
「そんな事…
何があってもひとりぼっちになんてなんない。そもそも迷惑だなんて思ってないよ？」
眉を下げ悲しげな表情を浮かべて話す翔は、力なく項垂れる雅紀の頭をじっと見つめている。
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虹(プロフ) - 雅宗 潤美さん» はい！よろしくお願いします。楽しく読んで頂けるのが何より嬉しいんです♪ (2018年12月3日 23時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
雅宗 潤美(プロフ) - 虹さん» 虹さん！早くも返信して下さり、ありがとうございます！応援くらいしか出来ませんが、勝手に楽しく読ませて頂いています♪こちらこそ宜しくお願いします( ´∀｀) (2018年12月3日 23時) (レス) id: 55d3a0233c (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 雅宗 潤美さん» 雅宗 潤美さん♪初めまして！ステップファミリーを応援して下さってありがとうございます(*^O^*)和くん潤くんの成長は書いてても凄く楽しいです。また明日も頑張ります。これからもよろしくお願いします(*｀・ω-)ノ (2018年12月3日 23時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
雅宗 潤美(プロフ) - 虹さん初めまして！またステップファミリーを読むことが出来てとても嬉しいです！成長していく子供達が大好きでこれからも応援させてください！ (2018年12月3日 23時) (レス) id: 8e5b3cdf80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月3日 13時
