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「…たて、ます…」

「ん。じゃあ、おいで」


指と指を優しく絡められて、彼に導かれるまま足を動かす

向かう場所は、なんとなく分かる。何度かそういう経験を、したことがあるから

それまでの道程でも隣を歩く男性は、時々こちらに視線を送っては歩幅を調整してくれた

そんな小さな優しさが、今の私には、嬉しくて…辛かった


「…ここ、は」

「俺の家」

「…ホテルじゃ、ないんですか…?」

「あー…まぁ、家の方が安心やし」


どうぞ、と言われて招き入れられたのは、本の匂いが微かに香るマンションの一室だった

鍵を掛ける男性の姿を見つめていると、彼は先に靴を脱いで上がっていく

上がっても、良いのだろうか。と、予想外の事態に動けず固まる私

そんな私を見かねた彼は振り返ると、優しい笑顔で「はよおいで」と手招きしてくれる

少しだけ、きしむ胸。熱くなる顔は見ないふりをして、急いで靴を脱ぎ、彼の背中を追った


「着替え用意しとくから、先風呂入りな」

「っあ、あの…」

「ん?」

「…な、んで…そこまで、してくれるんですか…?」


私と彼は、ただの他人だ。運命の再開とかそんなのでもなく、本当の初対面

なのに、そんな初対面の私に、何故彼はここまでしてくれるのだろう

男性は少し考えるそぶりを見せるが、すぐにふっと笑って、私の頭に手を乗せる

暖かくて、大きな手


「気まぐれ」


そのままポンポンと頭を撫でると、彼は隣の部屋に消えていった

また、胸がきしむ。駄目だ、今日はいろいろありすぎて、疲れているのかもしれない

彼の言葉に甘えて、お風呂に入らせてもらおう

そしたらきっと……運命を、受け入れられる気がするから

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作品ジャンル:恋愛
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白菜(プロフ) - すずどらさん» こちらこそコメントありがとうございます。とても励みになります。誰かの心に響くような話を書くことができて良かったです。更新頑張ります (2019年12月15日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - あやかさん» こちらこそコメントありがとうございます。誰かを好きになるって大変なんだな、と書いた本人ながら思ってます。これからも切ない恋の模様を見守って頂けたら幸いです (2019年12月15日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
すずどら - 僕の推しは川上さんなので凄く嬉しかったです。せつない作品で、とても良いな、と心に染みています。また、続きを楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2019年12月15日 10時) (レス) id: 66850163cc (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - せつない作品をありがとうございます。現在さめざめと泣いております…。続きをお待ちしております。どうぞよろしくお願いします。 (2019年12月15日 0時) (レス) id: 7a1dedd698 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - Qさん» こちらこそいつもコメントありがとうございます!!無料世界一周旅行出来るくらいの作品が書けているかはまだまだ自信ないですが、そう言って貰えると本当に嬉しいです!!Qさんもインフルエンザにはお気をつけて! (2019年12月9日 14時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年12月7日 23時

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