【Q|K】愛したい【kwkm】

． ページ32

「川上さんの好きな人ってあの子だったんですねぇ」

「…その様子だと、連れてきた犯人こうちゃんか」

「実はクイズしようと誘って連れてきたんですけど、まさか川上さんが言ってた人だとは思ってなくて」


すみません、と全く気持ちのこもってない謝罪にはぁ、とため息を吐いて取り敢えずキッチンに行く

冷蔵庫を開けると丁度麦茶と今朝貰ったお菓子が入っていた

まぁ、あんまり高い物を出しても気を遣わせそうだし、これくらいで良いか

それに女子は結構体型を気にするらしいので、多く出しても困らせてしまうだけだろう


キッチンから戻ると、ソファーに座っている葉月さんの周りには既に人が集まっていた

誰が隣でも嫌だけど一先ず伊沢さんだけはやめてくれ


「はいはい、葉月さんが困ってるので退けてください」

「そんな事言って、ほんとはしっt」

「須貝さん、それ以上喋ったら口縫い付けますよ」


葉月さんの前にお菓子を置くと、どこからか伸びてくる手

お客様用に出したお菓子に堂々と手をつけるってどうなんですか編集長

モグモグと食べる彼をキッと睨んでも効果なし。はぁ、もういいや


「…川上さん、いつもと雰囲気違いますね」


驚いたような声音。見ると、ほんとに少し驚いたような顔をしていて、もしかしていつもと違いすぎて幻滅されてしまっただろうか？と不安になる

これでフラれたら絶対伊沢さんを責めよう

そんな決意をする俺とは裏腹に、ふわっと微笑んだ彼女は「いつもより楽しそうです」と言って首を傾ける

笑顔が可愛かったので言わないが、俺としてはいつ余計な事言われるかって不安で全く楽しくない

…まぁ、そう受け取ってくれたならそれで良いのだけど


「あ、そういえば葉月さんはクイズしにきたんだよね？

　それ食べ終わったら問い読みするから、試しにこうちゃんと戦ってみなよ」


ついでに川上とも、と俺を指差す福良さん。それもある意味余計な一言だった


「でも、私勝負になりませんよ…？」

「良いの良いの！誰でも最初はそんなもんだって！」

「こうちゃん近い」

「川上さんが細かいんですよっ！そんなんじゃモテませんよーだ」

「ははっ、川上さんなら細かくてもきっとモテますよ」


かっこいいですもん、と簡単に言ってのける葉月さん。女子高生って凄い

それに一人顔を紅くして彼女に背を向ける俺の肩に事の発端である伊沢さんが手を置いてきたので、彼も今度山本とセットでやり返そうと心に刻んだ

信じる→←．

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す