生きたい ページ3
―――神様は、なんて残酷なのだろうか
ただ、平凡な毎日を望んだだけなのに
ただ、普通の子達みたいになりたかっただけなのに
ただ、誰かと愛し合いたかっただけなのに
それさえも、許してくれないんですか
そんなんだから、無神論者がいつまで経っても存在するんですよ
だって…神様が居たらきっと、もっと皆を平等に幸せにしてくれるはずでしょ
私にだって、少しくらいの幸せをくれるはずでしょ
.
…寒い
今の感想はそれだけだった
それもそうだ。これだけ雪が降っているのに、私には学校の制服に青いマフラー、あとスクールバッグだけ
コートも手袋もカイロも傘も、冬の必需品はマフラー以外なにも持っていない
感覚が無くなってきた手に白い息を吹き掛けて、徐に空を見上げる
雲一つない夜空。いつもなら、何かしらの感想を持てた筈なのに
今は、寒いという感想しか浮かばない。冷気が冷めきった頬には痛くて、再び腕に顔を埋める
「ねぇ、あの子どうしたのかしら」
「関わったら面倒よ。ほっときましょ」
こんな雪の中、道の隅っこにしゃがみこむ私をけげんな目で見つめる通行人
でもそんな通行人の話題も、前を向けばすぐに切り替わる
赤の他人の事になんて、一瞬の興味くらいにしかなりやしないんだ
一瞬の興味になれただけ、上出来だ
「……生きたい…」
白い息と共に溢れた、始めての望み
生きて、もっと楽しい人生を送りたかった
誰かから、愛されたかった
今までの人生だけで、はいおしまいは、嫌だ
―――死にたくない
「…君、こんなとこでどしたん?」
冷たい雪が途切れる
顔を上げると、金髪にピアスをつけたいかにもチャラそうな男性が、私の方に傘を傾けてくれていた
彼の背中には、僅かに雪が積もり始めている
それだけだ。たった、それだけの優しさ
なのに何故か、酷く虚しくなって、目尻が熱くなる
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白菜(プロフ) - すずどらさん» こちらこそコメントありがとうございます。とても励みになります。誰かの心に響くような話を書くことができて良かったです。更新頑張ります (2019年12月15日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - あやかさん» こちらこそコメントありがとうございます。誰かを好きになるって大変なんだな、と書いた本人ながら思ってます。これからも切ない恋の模様を見守って頂けたら幸いです (2019年12月15日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
すずどら - 僕の推しは川上さんなので凄く嬉しかったです。せつない作品で、とても良いな、と心に染みています。また、続きを楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2019年12月15日 10時) (レス) id: 66850163cc (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - せつない作品をありがとうございます。現在さめざめと泣いております…。続きをお待ちしております。どうぞよろしくお願いします。 (2019年12月15日 0時) (レス) id: 7a1dedd698 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - Qさん» こちらこそいつもコメントありがとうございます!!無料世界一周旅行出来るくらいの作品が書けているかはまだまだ自信ないですが、そう言って貰えると本当に嬉しいです!!Qさんもインフルエンザにはお気をつけて! (2019年12月9日 14時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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