【Q|K】愛したい【kwkm】

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打ち込んでは、消して、打ち込んでは、消して、を繰り返す内に出来上がった文章は、業務連絡のようなシンプルで冷たい印象を持たれそうな、そんな文

送ってすぐについた既読に一株の後悔を抱いていると、少しの間を開けて返信がきた

女子高生ってもっと文字打つの速いのかと思ったけど、そんなでもないのかな

もしかしたら葉月さんが少し遅いだけかもしれない、なんて少し失礼な事を想像する


葉月さっきのレシートにも書かれてましたよね。拓朗って名前、とってもかっこいいです


…俺も、Aって名前も可愛いって返せたら、どんなに良かっただろうか

大人になって得をしたこともあるが、損したこともある

こんな風な文章を送ることに恥じらいを覚えてしまったことだ

今だけは、学生時代の自分が羨ましい


ありがとう


結局そんな短い返事しか返せなくて、一人勝手に落ち込む

こんな時伊沢さんなら、須貝さんなら、山本なら、こうちゃんなら、なんて返すんだろうか、と素直に自分の気持ちを言える人達の名前が浮かぶ

素直に言えなくても、もっと上手い言い回しをしそうな河村さんや、福良さんや、水上なら、なんて…と考えても仕方ないことばかりが頭を回る

あぁ、ほんとに…恋は病とはよく言ったものだ


葉月いえ。それでは、私は先に寝ますね

葉月おやすみなさい、川上さん


…この文章を、現実世界で聞けたらな、なんて

いや、それは濃度が高すぎるからやっぱり今はいいな


「…あれ相当重症だな」

「須貝さんもやっぱそう思う？」

「伊沢もか。あれは拗らせたねぇ川上君」

「そこ、聞こえてますよ」

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