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君のいる朝 05 ページ9

「……行っちゃった」

ぽつん、と小さな幼子の呟きは、どこか痛ましげに響いた。
狂王の消えた箇所を見つめる横顔は、内包した感情からか大人びて見せる。

聖杯ーーーー願望そのものの、受肉。異質で奇っ怪な彼女を、いくら子どもだからとはいえ、みな警戒している。特にAが出現させた特異点にオルタの救出へと出向いたサーヴァント達は、それが顕著だった。
エミヤも体感した身だ。これまでの五つの特異点とはまるで違う、猶予のない危険な地だったことは知っている。それを生み出した存在へ向けての反応としては、サーヴァントとして、むしろ正しい。

自分の立場と周囲の目を、彼女は幼いながら理解している。だからこそ寄る辺はただひとつと決めているようだ。

世界に取り残された時、救いあげてくれた手の温もりを、エミヤは知っている。
この先サーヴァントとして、ひいては抑止の手先として立ち行くたびに、記憶が摩耗する日がきたとしても、忘れたくないと願う温度だ。
彼女にとっての狂王は、そういう存在なのだろう。

ーーーーもう一人の彼女、精神の方は、特異点と共に消滅した。立ち会った者として、残されたこの小さな少女を見守ってやりたい。それが手向けになるだろう。

願わくは、この子が、狂王以外の誰か……できれば同性がいいだろう、心を開いてくれれば、と願わずにはいられない。

子どもというのは、総じて頑なだ。真っ直ぐだからこそ、傷も負いやすい。
仮にこれから人間と同じように成長すると仮定したとしたら、迎えるのは第二次性徴期か。あるいは止まっていた時間を一気に取り戻すのか。
なんにせよ、大きな変換期を迎えるのに、たった一人とのかかわりだけでは狭すぎる。エミヤも気にかけてはいるが、大前提として自分はマスターのサーヴァント。次の特異点へのレイシフトの準備に入れば、それも難しくなる。

「あらぁ、お出迎え? わざわざ自分から鞭打たれに来たのかしら」

「……あ」

しまった、交代だったことを忘れていた。エミヤは眉間に皺を寄せる。

「メイヴちゃんのご帰還よ、さぁさぁ」

鼻歌を歌いながらコフィンから舞い降りた純白の少女に、Aは……。

(固まってる……)

まるきり、蛇に睨まれた蛙だった。直立不動である。メイヴは管制室に入るや否やAのもとに歩み寄り、獲物を見定めるように目を細めて笑う。

「可愛く鳴いてごらんなさい、そしたら特別にもっといじめてあ、げ、る」

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Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 碧依さん» わわわわ感想ありがとうございます!!2度もいただいてもったいない……!は、発狂!そこまで萌えていただけて嬉しいです!いつも応援ありがとうございます、3部頑張ります! (2018年1月11日 0時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - ありささん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章から読んでいただけて嬉しいです!3章楽しみにしていただけている気持ちに答えられるよう頑張ります、応援ありがとうございます……! (2018年1月10日 16時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
碧依(プロフ) - 第2部完結おめでとうございます!最後の方は超絶キュンキュンして悶えながら読んでました← もう心の中で発狂してました← 第3部も続くとのことで、とても嬉しいです! 心待ちにしています! これからも頑張って下さい! (2018年1月10日 14時) (レス) id: e83e0a514a (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - はじめまして、一章から楽しく読ませていただいております!三章が凄く楽しみです!これからも頑張ってください!! (2018年1月10日 13時) (レス) id: 5124bcd214 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - いよりさん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章かは2章まで読んでいただけて嬉しいですありがとうございます……!3章もハラハラドキドキ、きゅんきゅん多めな展開を目指して頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月9日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Sandoriyon0000 | 作成日時:2017年12月13日 23時

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