朝と君と待雪の花 07 ページ36
どのクー・フーリンにもないものだから気になっていたのだ。
(これ、なんだろう。おしゃれかな？)
他にもAは触った。目が見えなかった頃のように、指先に神経を集中させて触るとたくさんの情報を感じることができる。
頬骨の高さ、鼻先の呼吸、なめらかな唇にふさふさした眉ーーーー肌の下の、低い温度。
(すき)
この温度が、いちばん。包まれると安心する。
Aは知ってしまった。人の温もり、そこに潜む優しさを。
みんなは言う。恐ろしい人だと。Aも、この目で見た。血に濡れた、大好きな人を。
怖かった。普段とまるでちがう姿は、怖くて、かなしかった。でもそれでやっと、こんなふうに触れたり、て共に眠ることが当たり前じゃないことに、気がつけた。
彼が生きて、武器をとる手を休めてくれていたから、できることだった。
それを当たり前だと思えるくらい、幸せな日々を過ごしていたのだ。
今も怖い。でもそれは、この日々が失われるかもしれないという恐怖。幸せのすぐ裏側の崩壊。
Aが心臓を貫かれた日に終わりは訪れていた。いや、本当はもっと前ーーーー生まれ落ちずに死んでいるのだ。
Aは彼と、出会うことすらなかったかもしれない。
(そんなのいや)
すり、と肩に額をのせる。
(まだ、いたい)
ここにいたい。彼のそばに。
ふれていたい。こうして、ずっと、永遠にーーーー。
(でも、だめ)
たくさんのわがままが、すべて叶う。そんなことはありえない。だからAが今願うことはひとつだけ。
(くーの全部、覚えていられますように)
Aは狂王の背に沿うように横になる。お腹はすいていたけれど、一緒に食べられないなら欲しくない。
とろとろと浅い眠りにおちていく。意識の最後、頬になにか触れた気がして、くすぐったくて、Aは笑った。
勝手にやってきて勝手に触れて勝手に眠る少女の動向に、狂王はくつくつと喉を鳴らした。
医務室に馴染みのある魔力を感じてから狂王は目を覚ましていた。ほんの出来心で狸寝入りをしていると、やけに甘えた指先が顔や腕をくすぐった。普段は｢お世話係｣として面倒を見るという体で触れてくるので違いはすぐにわかる。
起きるべきか逡巡するうち、Aは眠った。きゅうと腹が鳴ったので、何も食べてないことがはっきりした。
サーヴァントが一食抜くのと人間が一食抜くのとは訳が違う。なんでもかんでも真似をしようとするのは子どもだからか、好意の延長か。
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Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 碧依さん» わわわわ感想ありがとうございます！！2度もいただいてもったいない……！は、発狂！そこまで萌えていただけて嬉しいです！いつも応援ありがとうございます、3部頑張ります！ (2018年1月11日 0時) (
レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - ありささん» はじめまして！感想ありがとうございます！1章から読んでいただけて嬉しいです！3章楽しみにしていただけている気持ちに答えられるよう頑張ります、応援ありがとうございます……！ (2018年1月10日 16時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
碧依(プロフ) - 第2部完結おめでとうございます！最後の方は超絶キュンキュンして悶えながら読んでました← もう心の中で発狂してました← 第3部も続くとのことで、とても嬉しいです！ 心待ちにしています！ これからも頑張って下さい！ (2018年1月10日 14時) (レス) id: e83e0a514a (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - はじめまして、一章から楽しく読ませていただいております！三章が凄く楽しみです！これからも頑張ってください！！ (2018年1月10日 13時) (レス) id: 5124bcd214 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - いよりさん» はじめまして！感想ありがとうございます！1章かは2章まで読んでいただけて嬉しいですありがとうございます……！3章もハラハラドキドキ、きゅんきゅん多めな展開を目指して頑張りますので、よろしくお願いします！ (2018年1月9日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sandoriyon0000 | 作成日時：2017年12月13日 23時
