プロローグ ページ1
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「おはようございます、お疲れ様です」
「おつかれー」
出勤……というか、大学の帰り。アルバイトとして編集を進めるべくオフィスに立ち寄れば、編集部屋には意外と人がいた。
空いている席を見つけて腰掛ける。パソコンの起動を待つ間なんとなく部屋の出入口を見ていたら、丁度休憩から戻ってきたらしいノブさんと目が合った。
「おっ、とむ! おつかれ」
「お疲れ様です」
ぺこりと頭を下げる。
座っていた椅子のキャスターがきゅる、と鳴いた。
「そういやさ、こないだ結構な大人数で海外撮影行ってたじゃん」
「私も行ったやつですね」
「そう! 俺も行きたかった……ってのは一旦置いといて。
貰ったお土産めっちゃ美味しかったんだけど、やっぱ料理とかも美味しかった? てかお土産話とか無い? ふつーに聞きたい」
「あー……」
さて困った。
私の記憶では特別料理がマズかった記憶は無いけれど、何を食べたかあまり覚えていないのだ。
それも印象が薄いとかそういう訳ではなく、ほかの出来事が濃すぎて。
撮影内容然り、撮影外の出来事然り。
撮影の内容は当然、社内共有がされているからノブさんも知っているだろう。そもそも仕事の話をお土産話と呼ぶのも如何なものか。
かといって、撮影外に起きた「濃い」事を話すのも何だか気が引ける。
そこに私とノブさんの間柄は関係なく、ただ事情が事情で。
誰かにおいそれと話すのは気が引ける内容。
……まぁ要するに。
海外撮影において私には、多少プライベートな出来事があったという事なんだけれど。
とはいえ、全てを詳細に話さなければバレる事はないだろう。
立ち上がったパソコンを操作してファイルを読み込みながら、私はノブさんにぽつりぽつりと話し始めた。
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じばくスイッチ(プロフ) - 葉華さん» お読み頂き、コメントまでありがとうございます。tmさんがトリリンガルと知って衝動書きしたものなのであまりキャラクターを捉えきれていないと思いますが、そんな風に言ってくださる方のお陰で書いてよかったと思う事が出来ます。こちらこそ、ありがとうございます。 (1月21日 20時) (レス) id: 3711322760 (このIDを非表示/違反報告)
葉華(プロフ) - あとがきを読んで、とても考えて作られているんだと驚きました。tmさんの夢小説が無いに等しい中、この作品を見つけられて幸せです。面白い作品をありがとうございます。 (1月18日 20時) (レス) @page12 id: 799c11267c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じばくスイッチ | 作成日時:2022年4月19日 0時