第五十六訓 ページ7
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「吉田松陽!!」
音もなく背後にたっていた先生に怯えを隠すように声を上げた役人たち。
刀に触れて臨戦態勢のようだが…後ずさったり、どう見ても逃げ腰。
いや、もうビビっていいよ。普通だよ。私も超怖いもの。
っていうか、塾を出たタイミングとかなんとなくわかってる分私の方が怖い。
でも…それより、真下にいる役人の提灯が明るすぎて目に良くない。
今日は満月、加えてここの通りは障害物もないので月光で十分見渡せる。
消していいかな?目が痛い。
そっと腰に差しなおしていた木刀を腰から引き抜いてやり投げみたいに肩に背負う。
「ですが…
役人の足元を怪我させないようにピンポイントを狙って投げ込んだ。
座った体制のままだったので、少し投げづらかったが
狙い通り提灯を掠め、破れた所から中の蝋燭が落ちて火は消えた。
と、同じく先生の通った先々から役人の刀が粉々に砕けた。
いや、斬り捨てられたのか?
抜刀の仕草すら見えなかったので何が起きたか分からない。
「私は本当に国家くらい転覆させても構いませんよ」
チラリと見えた先生の瞳は、青白く光る月光の中目立つ紅に見えた。
そして、月光に照らされたのは何も先生だけではない。
「ひぃっっ」
「化け猫だ!!」
「はぁ?猫??」
先生と突然投げ込まれ木刀、そして木刀の飛んできた先に居た私
三つの要素に怯えた役人達が悲鳴をあげながら逃げ去っていくのを流し見た。
というか、何故私の方を見ながら化け猫??
くだらない謎を置いておいて、私はゴシゴシと目を擦りもう一度先生を見た。
逃げ去っていく役人を冷ややかな視線で見つめていたが、その瞳は紅ではなかった。
さっきの紅は見間違い?
「松陽…A…」
呆然としたように銀時が名前を呼ぶと先生の瞳は温度を取り戻したように温厚。
あまりの切り替わりに私は何を見ていたのか
もしかして見ていたものは空想ではないか?とすら思った
高「…確かに猫みてェ」
「私?」
意味がわからず聞き返すと無音で屋根の上にいて下を達観する
あと後日小太郎から聞いた話だと、この辺りで
化け猫が出るなんて噂話があったらしく
そんな中、無音で屋根の上で座って 暗い夜の中 光る私の
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寧々 - 文章のひとつひとつが丁寧で全体的にとても綺麗な作品だな、と思いました…。初めの頃より少し髪が伸びましたね。この先も彼女の成長を見ていきたいです。 (2023年3月22日 18時) (レス) @page46 id: 64f7a4220b (このIDを非表示/違反報告)
りゅーり - 久しぶりにこの作品読み返しまた!更新楽しみにして待ってます! (2022年8月11日 23時) (レス) id: ccd8abd8be (このIDを非表示/違反報告)
睡-スイ-(プロフ) - 峰さん» コメントありがとうございました。コメントがあると戻らねば、と思うので多忙でも更新欲が湧き、励みになります。短く真実のみの原作を私なりに夢主の視点で広げてまいりたいと思いますのでゆっくりお待ちください (2022年5月26日 23時) (レス) id: 7433db5bad (このIDを非表示/違反報告)
峰 - 面白いです! (2022年4月4日 0時) (レス) @page41 id: 3035439a9e (このIDを非表示/違反報告)
睡-スイ-(プロフ) - こっぺぱんさん» お待ちくださりありがとうございます。遅くなりましたが再始動していこうと思います!それでもゆっくりな更新となりますがどうぞお付き合いいただければと思います!! (2021年10月4日 19時) (レス) id: 7433db5bad (このIDを非表示/違反報告)
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