639歩目 ページ28
ル「飛べそ〜〜〜〜！！！」
ウ「だろう！！？」
嬉しそうな声を上げるルフィとウソップの横で、私は眉をひそめた。
なんだか不安になる造形だねえ。こんなので…大丈夫なのか？』
ナ「私もあれ見ると不安になるわよ…」
ゾ「まァ、そうだな。鶏よりハトの方がまだ飛べそうな…」
ナ「それ以前の問題でしょ！！バカねっ！！」
出発準備に騒がしくなり始めた船の傍から離れた。ルフィも袋を片手にクリケットの方に向かう。
ク「…」
ガチャン、と黄金の入った袋がクリケットの前に置かれた。
ク「さっさと船に乗れ。時間がねェ。空へ行くチャンスを棒に振る気か…！！」
そう言うクリケットの前には大量の吸殻が灰皿の上に山を為していた。
ク「…バカ野郎が」
そう言うクリケットの言葉に、ルフィがにっと笑う。
ル「うん。ありがとう、船」
『…世話になった』
私達の言葉にクリケットは岬の方を指さした。
ク「礼ならあいつらに言え」
『ああ…ありがとう！世話になった！！』
ル「ああ！ありがとう、おめェら！！ヘラクレスやるよ！！」
「「ホントかよ！！いいのかよ！！お前メチャクチャ良い奴じゃねェか！！」」
どよめく船に笑いながら、私はメリー号に向かって歩き出した。
マ「とにかく急ごう、船に乗れ！！間に合わねェぞ！！」
シ「おれ達が先導するから着いてこい！！」
ウ「ルフィ！A！急げ！！」
ル「『ああ！！』」
船に飛び乗ろうとした時だった。
ク「猿山連合軍！！！」
突然クリケットの声が響いた。
「「ウォ〜〜ホ〜〜！！！」」
「「アイアイサ〜〜！！！」」
マシラとショウジョウの船から乗組員達が声を上げる。
ク「ヘマやらかすんじゃねェぞ！！！たとえ何が起きようと！！！こいつらのために全力を尽くせ！！！」
クリケットの言葉に雄叫びが上がる。
ル「よし！！行こう！！」
私と共に船に飛び乗ったルフィの号令で、出発に向けてみんなが動き出す。
ク「小僧！！」
クリケットが岬に立った。
ク「おれァここでお別れだ！」
慌ただしい甲板に向かってクリケットが声を上げる。
ク「一つだけだ！！これだけは間違いねェことだ！！」
ル「？」
ク「『黄金郷』も！！『空島』も！！過去誰一人『無い』と証明出来た奴ァいねェ！！」
ル「うん！！」
クリケットがニッと笑った。
ク「馬鹿げた理屈だと人は笑うかもしれねェが、結構じゃねェか！！」
ク「それでこそ『ロマン』だ！！！！」
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作者名：りと | 作成日時：2019年5月15日 11時
