631歩目 ページ20
「『！！！』」
全員の顔にナミと同じ表情が浮かんだ。
ク「ああ…………ああ…いいんだ…そんなのはよ。忘れろ、これは……」
『いいわけないだろうが！！！』
声を荒らげた私にクリケットが驚いたように目を見開いた。
『あんたが10年かけて…そんな体になってまで潜り続けて見つけた黄金だぞ！！』
ク「黙れ…」
クリケットは低い声でそう呟いた。
ク「いいんだ…これァおれ達の問題だ。聞け」
クリケットが伏せていた目をこちらにむける。
ク「猿山連合軍総出でかかりゃあ…あんな船の修繕・強化なんざわけはねェ…。朝までには間に合わせる。お前らの出港に支障は出さねェ」
ぐっと拳を握る。
(どうして何も教えてくれないの…！？)
クリケットが、倒れたマシラとショウジョウをみて何も思わなかったわけが無い。こんな目に遭わされて何とも思わなかったわけが無い。
ク「いいか、お前らは必ず…！！おれ達が空へ送ってやる！！」
ウ「おやっさん……」
ク「だからよ……お前らは……」
拳を握る私の肩に誰かが手を置いた。
ゾ「おい、ルフィ、A…」
ゾロの声に顔を上げると、ゾロが後ろを指さした。
『……！』
ニヤニヤと笑う顔に斜めの線が入ったマーク。このマークには見覚えがあった。
ナ「ベラミーのマーク！！」
『あいつらか……』
地を這うような声が喉から漏れた。じっとそのマークを睨む。ざわ……と風が木々を揺らした。
ゾ「手伝おうか」
ル「いいよ、一人で。」
ルフィの言葉にナミが一瞬考え込むように言葉を飲み込んだ。
ナ「……ダメよ、ルフィ！！バカなこと考えちゃ！！」
ナミの一言にルフィが眉を顰める。
ナ「出航予定までもう3時間ないんだから！！」
ル「…海岸に沿ってったら昼間の街に着くかな？」
ロ「ええ、着くわよ」
ロビンの言葉にルフィがパキリ、と指を鳴らした。
ク「てめェ余計なマネすんじゃねェぞ！！相手が誰だか分かって……」
怒鳴るクリケットの前にゾロの刀が差し出される。
ゾ「止めたきゃこれ使えよ……」
ルフィの目がじっと街のある方を見た。
ル「朝までには戻る」
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作者名：りと | 作成日時：2019年5月15日 11時
