626歩目 ページ15
ごとん、と置かれたのは鳥をモチーフにしているらしい金の置物だった。
ク「ハハハ…！！１０年潜ってこれだけじゃ割に合わんが…」
そう言ってクリケットは少し照れたように笑った。
ナ「うわあっ…綺麗……！！」
ゾ「なんだこれ、ペンギンか？」
よく磨かれた金は海底にあったせいかわずかに傷があるが、それを差し引いても心を奪われそうなほど美しい。
サ「『黄金の鐘』に『鳥』……それが昔のジャヤの象徴だったのかねェ…」
ク「わからんが、これは…何かの造形物の一部だと思うんだ」
抱えるほどの大きさの金の像を見つめ、クリケットは目を細める。
ク「こいつは『サウスバード』といってちゃんとこの島に現存する鳥だ」
ル「鳴き声が変なのか？」
ク「ああ、日誌にある通りだ。」
へぇ、ともう一度その鳥の像を見下ろす。大きな嘴が特徴的な鳥で尾羽が長い。色は像が全て金で出来ているせいでわからないが、普通の鳥とはかなり見た目が違う。
マ「『サウスバード』と言やあ……昔から船乗りの間じゃあ…」
そこまで言いかけたマシラの言葉が止まる。と、みるみるうちにマシラとショウジョウ、そしてクリケットの顔から血の気が引いた。
「「しまったァ！！！！」」
すっかり顔色が変わったクリケットたちの様子に私達も眉をひそめる。
『！？』
ゾ「何だ！！？どうした！！」
ク「こりゃまずい！！おいお前ら森へ行け！！南の森へ！！」
ル「は！？何言ってんだ、おっさん？アホか！？」
首をかしげる私達にクリケットが身を乗り出した。
ク「『この鳥』を捕まえて来るんだ！！今すぐ！！」
ウ「何で！！？何が？？」
『？』
サ「鳥が…なんだよ！？」
ク「いいか！！よく聞け…！！」
クリケットはそう言って、島の地図を広げた。
ク「お前らが明日向かう『
ル「船でまっすぐ進めばいいだろ」
ク「ここは『
ナ「……！…そうか…目指す対象が『島』じゃなくて『海』だから頼る指針がないんだわ…！！」
『じゃあ…どうしたらまっすぐ南に進めるんだ？』
普通の方位磁針では狂って使い物にならない。どうしたらいいんだ、と顔を上げる。
ク「その為に『鳥の習性』を利用する！！」
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作者名：りと | 作成日時：2019年5月15日 11時
