57.（side_hokuto~ ページ9
side_hokuto
文化祭の華やかで賑やかな雰囲気が、
どこか他人事のように感じていた。
たくさんの人が行き交う校舎が窮屈で、
俺は1人で中庭の木陰に逃げ込んだ。
Aには結局、声もかけられず、
今どこにいるかもわからない。
｢つまんねぇなぁ…｣
ポツリと漏らした声に、
答えてくれる人なんて誰もいない。
俺は今、"ひとりぼっち"なんだと改めて実感した。
Aと出会う前までは平気だった
"ひとりぼっち"が、今は無性に、それが怖い。
Aは俺を、少しだけ、弱くした。
1人で生きていられた俺を、
1人じゃ生きられなくした。
｢Aに、会いたい…｣
その気持ちだけを頼りに、俺の体は焦りだす。
Aを探そう。
俺は立ち上がり、混雑する人の中にAを探した。
しかし、こんなたくさんの人の中から見つけ出すことは容易ではないだろう。
｢あ、ねぇねぇ、A見てない？｣
適当にそこら辺にいた同級生に聞き込みをする。
｢A？…あ、そういや、
変なお面つけた奴と走ってたけど｣
｢変な、お面…？｣
｢あぁ、でもあれ、
たぶん樹じゃないかな…体格的に｣
"樹"というワードに、俺の焦りは加速する。
｢どこに行ったか、わかるか？｣
｢たしか…旧校舎の方に向かってた｣
｢旧校舎…、ありがとう｣
俺は全力疾走で旧校舎に向かった。
文化祭の影響が及んでいない旧校舎はやけに静かで、こんな所に人がいるとは思えなかった。
旧校舎にある教室を片っ端から確認してまわる。
1階にも2階にも誰もおらず、残すは3階のみ。
3階に上がると、そこには特別教室が並んでいた。
俺はなんとなく、
その中で"音楽室"の扉に手をかけた。
扉を開ける直前、
その中の人の気配に少し気がついていた。
でも、俺は気付かないふりをして、ゆっくりと扉を開けた。
そこにあった光景…
樹とAが2人で何故か指切りをしている。
｢なにしてるの？｣
平然を装ったその声は、
自分でも聞いたことのないほど、冷酷だった。
A｢北斗くん…｣
樹｢北斗…｣
俺の存在に気づいた2人は、その指切りを解いた。
まるで、俺に隠すように。
2人の間には、
もう俺が入る隙もない程の何かがある。
俺はそのことに気づくのが少し、
遅かったのかもしれない。
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さいか(プロフ) - リリーさん» そんなふうに言っていただけるとすごく嬉しいです(;_;)ぜひまたリクエストがあればよろしくお願いします！ (2019年2月16日 23時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - すごいです！こんなに素敵になると思ってなくて何回も読み返しちゃいました！ありがとうございます！ (2019年2月15日 0時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます！バレンタインにピッタリのお話が書けて嬉しかったです！！ (2019年2月14日 13時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 樹くんへバレンタインのチョコをプレゼント手作りしてプレゼントするのが読みたいです！お願いします(^ ^) (2019年2月12日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます！「�� - 雨降る日曜日 - 」にて、樹くんと女の子ちゃんのラブラブ書かせていただきました。ご要望に答えられたか心配ですが…ぜひ、読んでいただけたら嬉しいです！ (2019年2月12日 6時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年11月19日 7時
