【イナGO】君へ贈る旋律第二楽章【神童拓人】 (ページ27)

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77　未完成の技ページ27

剣城不在のまま、雷門は十人体制のハンデを強いられた。

アルティメットサンダーが未完成の状態で帝国のディフェンスを打ち破るには、一体どうすればいいのか──。

雷門のキックオフで試合開始。

敵陣に切り込みかけた浜野だったが、相手の見事なテクニックと連携でボールを奪われてしまう。

巧みなパス回しでボールはキャプテンへ、そしてディフェンスラインも破られてしまう。

──速い。これが帝国。今までの相手とは格が違う！

「『バーニングキャッチ』！」

敵の放ったシュートを、三国さんが懸命に止めた。

ノーマルシュートであの威力。攻撃力も半端ではないらしい。

雷門ボールで試合再開。守りを固めるのかと思いきや、神童は果敢に攻め上がっていく。チャンスを狙いに行くのか。

神のタクトで指示を出す。光の筋は正確に、得点への道を示した。

ボールは天馬から倉間へ、そしてそのままシュート──とはいかなかった。帝国のディフェンス陣が立ちはだかり、あっさりカットされてしまう。

直後、まるでミサイルのようなロングパスが敵キャプテンに渡った。

すぐさま雷門のディフェンス陣がマークに着くも、こちらは十人。ノーマークの帝国選手が飛び出してきて、ゴールに襲いかかる。

しかしそれを凌いだのは天馬。スライディングでどうにかボールを外に出した。

人数のハンデがどうしても仇になる。はっきり言ってジリ貧だ。

しかし諦めるわけにはいかない。なんとか突破口を見つけなくては。

帝国のスローインから試合再開。速水がすかさずカットし、ボールは浜野へ。そのままバックパスを繋げていく。

──あの布陣は、アルティメットサンダー！

最後のキッカー、雷門のゴール前まで走っていくのは……神童。

「『アルティメットサンダー』……っ！！」

エネルギーを一杯まで蓄積したボールが、神童の足にめり込む。

しかし競り負けた。後方に飛ばされる神童、弾かれて転がっていくボール。

「ボールはまだ生きてるぞ、押さえろ！」

神童の指示に一番早く動いたのは天馬だった。ラインすれすれでどうにかキープ。

「『そよかぜステップ』！」

迎え撃つ帝国を必殺技でかわし、敵陣へ進んでいく。

すぐさま復帰した神童と連携して相手をかわし、そして。

「『フォルテシモ』！」

必殺シュートが帝国ゴールへ襲いかかる──が。

相手キーパーはなんと、いとも簡単に止めてしまった。必殺技も使わずに。