短編

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Aside

朝、先に目を覚まして、顔を洗った。
鏡に映った酷い顔の私。

「ぶっさ、、」

こんな顔を晒していたのかと思うと
すごく恥ずかしい。

赤くなった頰を叩いて気合いを入れる。

「よし！」

頑張らなくちゃ。



カメラの手入れをして、彼を起こす。

彼が顔を洗うところ、

朝ごはんを用意するところ、

食べるところ、

笑ったときの皺、

照れ隠しの変顔まで。

ひとつひとつ切り取っていく。


いままで忘れかけていた感覚を
久しぶりに思い出した。

もう大丈夫だ、と思えた。

いつの間にかカメラは、
誰かに認められるための道具になってしまっていた。
私は楽しむことを忘れていた。

いつも一緒にいてくれる人の存在も。


でも、もう大丈夫。

初めてのポートレイトは

新しい私の始まり。

朝 武正→←。

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