藤原くんのお気に入り【藤原樹】

なんで ページ29

( 樹 side )




リサ「 いっちゃんと会えるなんてなぁ。笑 なんかの運命かな！ 」


樹「 ちょっとうるさいって。 」




な、なんでリサ姉ちゃんがここにいるんだよ。


頭の中は混乱し、まともに考えることすら出来ない。




あの後、リサ姉ちゃんは夢を叶えるために海外へ飛び立ったきりだった。

あっちで婚約者？ができたとか何とか聞いたけど

俺は目の前の光景に困惑することしかできない。


はーちゃんの元へ戻ると、そこには少しだけ大人になったリサ姉ちゃんがいて

俺を見るなり飛びついてきて…


はーちゃんは未だにびっくりした顔をして、その場に硬直している。




リサ「 えへへ、私こっちで結婚式挙げる予定だから戻ってきたんだ！ 」




結婚


一番聞きたくなかった言葉。


俺はぐっと何かをこらえるようにし、声を振り絞って




樹「 そうなんだ、おめでとう。 」




そういった。


ぶっきらぼうだったかもしれない

目、ちゃんと見ながら言えたかな

ちゃんと、祝福してるように聞こえたかな


色々な不安が溢れんばかりに出てくる。


そんな俺をお構い無しに、リサ姉ちゃんは、「 あ、いっちゃんもしかしてその子彼女？笑 」とニヤニヤしながら聞いてくる。




樹「 そんなわけない。 」


A「 っ、 」


リサ「 あれ？てっきり彼女かと… 」




俺は冷たくそう言い放ってしまった。


はーちゃんを見ると、涙が今にでも零れそうになった目をし

下を向きながら、「 わ、私、先に長谷川くんたちのところに戻りますね！ 」と言い残し走り去って行った。




リサ「 あ、お礼したかったのに… 」


樹「 …はぁ、 」




なんで、今頃になって戻ってくんだよ。


しかも、よりによって過去のこと思い出して

はーちゃんにイライラぶつけんなよ。


俺は未だに過去を忘れられてない、ダサい男だった。




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