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◆7 ページ7

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私は間違ったことは言っていない


退屈そうに「ふーん」と言って、重岡くんはその本を持ったまま私の横を通り抜ける


古典が苦手な彼には、その本はきっと読む事は出来ない


自分で調べながら読むのだろうか、古典に強くなる為の彼なりの勉強方法なのだろうか


私がその本を求めていたことなど、さっきの一連の流れで彼は気づいているはずなんだ


私を呼んでも、私はその本ばかりを見つめていたのだから





ああ、もしかしたら彼はこれが退屈だったのかもしれない


人と話すのが好きな重岡くん


自分をそっちのけに古文の本にばかり目を奪われている私に、退屈したのだろう







.






「その本、読み終わったら先生に貸してくれる?」


「…せんせ、いつまでここにおるんでしたっけ」


「…一か月かな、」


「……じゃあ無理やわ」







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背を向けたまま、少しだけ横顔を見せてそう言い放つ


驚いて慌てて彼の腕掴めば、素直に足を止めてくれた


顔を一切こっちへ向けない重岡くんにそのまま続けた








「…ずっとね、読みたかった本なの、」


「面白いん?」


「…うん、そう聞いた」


「霤弔擦鵑察爾法」








耳鳴りがした


突然静まり返る図書室、カチカチ、と時計の音は辛うじて聞こえた気がした


ゆっくりと振り返る重岡くん、相変わらず目の奥は何も見えない


冷静すぎる彼に、私は冷たい汗が伝う感覚に背筋を伸ばした






彼はどこまで知っているのだろうか、


学校では職員室以外で極力先輩とは関わらないようにしているのに、


生徒会長だから、よく職員室へ来るのだろうか


いや、彼の特徴的なヘリウム声なのに綺麗で甘いその声は耳にしていない





「まあええわ」とまた退屈そうに答えるのは、


あの無邪気で明るい重岡くんとは違う、


何を考えているのかわからない、にたっとした顔




私の知らない、重岡くんがいた




何もかも見透してるかのように、ニーッと笑う


ああ、呑まれてる


完全に彼のペースに呑まれていた







「…じゃあさ、俺に古典、教えてください」


「へっ?」


「教えながら読めばええやろ?俺も学べるし、せんせーもこの本読める、一度に二度美味しいやろ?」







敬語とタメ口が混ざり合う


彼はきっと気づいてる


たった二日間、まともに話したこともない重岡くん


誰にも話したことがない、霤沈菁擇悗領心に


彼はあっという間に気がついた






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設定キーワード:重岡大毅 , 高校 , ジャニーズWEST   
作品ジャンル:恋愛
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- ヤバイっすね。これ読んでるとなんか、不思議な世界に行ってる感じがするんスよ。めちゃくちゃ好きです。桜さん!頑張って下さい! (2017年6月12日 0時) (レス) id: df4bec14b1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!嬉しいです、嬉しいです!どんどん堕ちていけるよう、私も頑張ります!第2章は少し複雑なので読みにくいかもしれませんが、後半はキュンキュンモードに入るので、ぜひそちらの方も読み進めていただけたらなと思います! (2016年5月26日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - たまたま見つけましたが、彼の甘い罠に私も完全に堕ちました…続きが読みたくて仕方ない程ハマっています。綺麗な笑顔の裏に隠された彼の闇がまた良い…! (2016年5月25日 17時) (レス) id: 24f53807b9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はなさん» コメントありがとうございます。前作を書いてる時にどんどんストーリが浮かんできて、今書いててすごく楽しいです!お言葉嬉しいです、どんどん惑わされちゃってください!(笑)励みになります、頑張りますね! (2016年5月20日 22時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - aoiさん» コメントありがとうございます。一番ですか!嬉しすぎますありがとうございます!感激です、とても励みになります!ありがとうございます、頑張りますね! (2016年5月20日 22時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年5月12日 22時

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