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#30ジョンハン ページ30
「なんでこんなものがあるんだよ！」
ヘリから飛び出し、俺はソラの胸倉をつかんだ。
さすがに驚いたのか、彼女は微かに目を大きくさせる。
「落ち着いてください」と横にいるバーノンさんが俺をなだめようとした。
しかし、俺は止まらなかった。
「これはAのものだ！ なんでこんなとこにある！？」
「……分かりません」
しらばっくれようとしているのだろうか。
彼女は納得のいかない返答をした。
そして、俺は疑問でいっぱいになっている脳内で、ひとつの可能性を感じていた。
「まさか……」
彼女の胸倉から手を離し、俺は膝から崩れ落ちた。
「お前が……A……なのか……？」
ソラは黙ったまま、俺を見ていた。
何を考えているのか、さっぱり分からない。
「そんな訳ないか。……アイツは死んだんだ……。でも、なんでこれが……」
俺の手の中には、妹とお揃いのブレスレット。
そして、その飾りのひとつにAと、名前が彫られている。
複製しようとしてもできない物だから、これは本物に違いない。
「……姉さん。僕は本当のことを言ってもいいと思いますよ」
その時、バーノンさんが静かに彼女に言った。
ソラは、彼を一瞥してから俺を見る。
「わたしの本名は、A……。10年前、死んだはずのユン・Aよ」
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作者名：菜々子
| 作成日時：2022年11月22日 19時
