#19ジョンハン ページ19
練習室でスンチョルと2人、ストレッチをしている所に「なあなあなあ」と声をかけてきたのは、BTSのテヒョンだった。
俺たちよりもはるか上の人気を誇る、世界中誰もが知っているアイドルグループの彼が何故わざわざここに足を運んで来たのかと言うと。
「君を守ってるボディーガードさん？ あの子、名前なんて言うの？」
案の定、彼女目当て。
「ソラ」
「へえ。本名じゃないでしょ」
「さあ？」
「恋人いんのかな〜」
「ミンギュと同じこと聞くな」
「恋人がいないならアタックするしかない！ ふふ、明日から俺のボディーガードになってたらゴメンね？」
「ソラは俺と契約してるんだけど」
「何言ってんだ、俺らだろ」とツッコミを入れるスンチョル。
「ふーん。でも借りることは出来るでしょ。ね、ソラさん！」
すっかりその気のテヒョンは、部屋で待機してる彼女に声をかける。
「明日、1日だけでいいから君と契約したいな〜」
「……わたしはSEVENTEENの護衛を頼まれてます。別の人ならご紹介できますよ」
「お金の問題？」
大人の悪い所を出すな。
「契約のご相談はこちらにどうぞ。わたしはそういう立場の人間ではございませんので」
と、彼女はご丁寧に会社の連絡先が書かれた名刺をテヒョンに渡した。
華麗に提案をスルーされた彼は、少し驚いているようだ。
それもそのはず。
誰もが知る大スターの頼み事をこんなに綺麗に交わす人間彼女以外はいないだろう。
「逆に燃えてきた……」
名刺を受け取った彼は、少し楽しそうな笑みを浮かべていた。
こりゃ大変なことになりそうだな。
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作者名：菜々子
| 作成日時：2022年11月22日 19時
