#18ジョンハン ページ18
田舎道を2人、肩を並べて歩いた。
どうしてこんな所にAの骨を置いたのかというと、祖母の生まれ故郷だったからだ。
妹は、おばあちゃんっ子だった。
Aが家出をして訪ねる場所の大半は、祖母の家だったのだ。
妹が死んで数年後に祖母も亡くなってしまったが。
「……少し、話してもいい？」
「なんなりと」
ソラは必要じゃない言葉は話さないから、こういう時は一方的で気が楽だ。
「さっき、今日は俺の妹……Aの命日だって話しただろ？ んで、偶然父にも会ったんだ。数年ぶりだったのに、何も話せなかった。……そればかりか、突き放すようなことをしてしまったよ」
不思議だ。
ソラには、なんでも話せる気がした。
彼女は黙って聞いている。
「もっと違う話ができたはずなのにな。……君はどう思う？」
なんとなく話を振ってみると、「そうですね」と少し間を置いて考えてくれた。
「本心を伝えればいいと思いました。抱えている思いを伝え、お互いに気持ちをぶつけるのです」
「……そんなこと、できるかな」
「ジョンハンさんとお父様の溝を埋めるには必要かと思いますよ」
彼女の言葉には納得できた。
俺は身につけているブレスレットを見る。
「……Aもそう思ってるのかな。父さんと……母さんと関係を修復してほしいって」
「それは？」
「妹がくれたんだ。お揃いでさ……」
その時、Aの遺体が脳裏に過ぎった。
顔面は潰れていたから布で隠されていたけど、見えていた腕にはいつもつけていたブレスレットがなかった。
そして、遺品にもなっていなかったのだ。
「……アイツはなくしてしまったのかもな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 176人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菜々子
| 作成日時：2022年11月22日 19時
