白昼夢は闇を見せない (ページ2)

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#2ジョンハンページ2

それから俺たちの運命は大きく変わってしまった。

妹を溺愛していた母は、すっかり憔悴しきってしまい、1日中寝たきりだったし、しばらくすれば。

「ふふ。今日はAちゃんとお買い物に行くのよ」

楽しそうにそう言う母。

母は、Aの幻覚を見るようになった。

そんな母を、父は見捨てることなく、仕事を減らしてまで介護することに専念した。

「それでも母さんのことを愛しているんだ」父はそう言って、1日のほとんどを母と過ごす。

そうしないと、Aの幻覚を追いかけて外に出ていってしまうのだそう。

母は、俺のことを少しも見てくれなくなった。

Aが死ぬまでは、妹と同じように愛してくれてたのに。

「見てられない……」

母の痛々しい姿を見ていられなくなった。

俺はこの家に居ても居なくても変わらない存在だ。

きっと父も負担が減って楽になるだろう。

俺の存在意義ってなんだよ……。

だから俺は。

逃げるようにして、家を飛び出した。