召喚士の異世界紀行 (ページ2)

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【01】現代と超能力ページ2

──PiPiPiPiPiPiPiPi

布団に籠るようにして眠っていた彼女──雪奈は、目覚ましウルセェ、と内心で悪態を吐きながら──寝ぼけた状態で腕だけを布団の外へ出して目覚まし時計を全力で叩く。
これでゆっくり眠れる、と二度寝しようとする彼女を問答無用で叩き起こす衝撃音。

「ちょっと、なにサラッと二度寝しようとしてるの！？遅刻しちゃうよ！！」

目覚まし時計の音が消えたことに反応して来たのだろう、母親のような口調で雪奈を起こしにきたのは──妹だ。
衝撃音は部屋の扉を勢い良く開けたときの音だったようで、姉を起こそうと布団を揺すり続ける。

「･･･う、おはよう、雪花(せっか)。」
「お姉ちゃん！早く着替えないと間に合わないんじゃないかな！？」
「･･･いま何時？」
「8時30分！過ぎてるよ！」

妹・雪花の言葉を聞いて、モゾモゾと布団から這い出て着替え始める。
彼女の通う高校は、家から直線で100ｍほどの距離にある。
が、残念ながら、その高校は遥か坂の上に位置するために歩けば40分、頑張って走っても30分は掛かる。

「ごめんやす。」
「織羽(おりは)さん、おはようございます。」
「はい、おはようさん。」

いつの間に入ってきたのか、雪奈の同級生の織羽という京都の祇園言葉を使う女子高生。

「織羽、着替え終わったよー」
「ほな、いこか。」
「はい、お姉ちゃん。お弁当。」
「妹、万能過ぎ…ありがとう。嫁に欲しい。」
「あきまへん。小学生に手ぇ出すのは。」
「織羽は厳しい･･･行ってきます」

行ってらっしゃい、と雪花の返事を待たず、二人は部屋から消えた。
雪奈と織羽が現れたのは、学校の下駄箱前。
織羽の超能力、【記憶型：瞬間移動(テレポート) 】。
見て、記憶した場所ならば何度でも行来ができるというもの。
基本的には雪奈が遅刻しそうなときだけ織羽が迎えに来て、こうして連れていってくれる。

「はい、学校に着いたよ」
「相変わらず、口調の切り替えを目の当たりにすると違和感が･･･」
「学校で祇園言葉は分かりづらいって何度も言われたからね。さて、チャイムなる前に行こう」
「はーい」

口調と一緒に言動も変化した織羽に引っ張られる形で校内へと入って行く。