恋と勉強の両立法。【さとみ】

3時間目 ページ3

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『ただいま』





ドアを開ければ部屋は１つランプが付いているだけ。





おかえりの言葉は聞こえなくて、聞こえてくるのは電子的な音だけ。主に冷蔵庫。





「…稼ぎは？」





『お母さん…はい。15万円だから10万円はお母さんので5万円が生活費だと思って』





いかにも寝起きです、という顔で暗い部屋から出てきたのは義理の母。





「まあアンタの生活費は払わないから良いか。じゃあビール買ってきて」





『分かってるよ。ビールだけ？他には？』





「煙草。」





煙草はご飯じゃないっつーの。





ビールも煙草も未成年には買えないから、LINEで成人している友達に連絡して一緒にコンビニへ向かう。





申し訳無いけれど、私を守るためには必要なんだ。





「じゃあ今日もさとみくんってのはかっこ良かったのね」





『うん。でもなーくんも大好きだよ』





「あはは、ありがとう。」





実は家庭が普通では無くて…なんて悲劇のヒロインでは居られない。





レジに並ぶなーくん(成人している友達)を待っていると、なーくんが渡してくれたレジ袋には何だか多めに入っている。





「それAの朝ご飯、連れていってあげれなくてごめんね。今日は奢り」





『うそありがとう！…ビールも高い奴だし』





袋から取り出したお高めのビールは、母の最も好きな種類。





『今日もごめんね、明後日もよろしく』





「何時でも頼ってね」





夜だし危ないからって私の家まで送ってくれるなーくん、イケメン。





なーくんの笑顔が街灯以上に眩しく感じた。









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