望くんと彼女。

21.思春期男子とオカズの食べ方【リク】 ページ33

〆．



「望に内緒で何かをするって、結構難しいんだよね」



「この前のでわかったわ、最終的には突き止められるって」



という話を流星とした、まさにその日に。



「お邪魔しまーす…」



望に内緒で、彼の家に来た。



「あら、Aちゃん。望なら部屋でオカズ食べてるわよ」



「ありがとうございます」



望のお母さんに笑顔で迎えられ、望の部屋の前へ。



今日のオカズ、なんなんだろ？



やっぱ朝のパンの袋と紙パックかなぁ。



ぽわぽわ考えつつ、邪魔をするのかどうか悩む。



ちなみに望のお母さんからは、「コンコンって二回ノックしたらそのまま入ってええよ、いつもそんなんやし」と許可をいただいてる。



それから、「割と高確率でオカズ食べてるわ」とも。



それが親公認って思春期男子にとってつらくないのか？



………まあ、いいか。



コンコン。



ガチャ。



「Aに選ばれしいちごジャムとマーガリンのコッペパン………そしていちごオレ……羨ましい、妬ましい、いちごとして生まれたらAの胃袋に入れたのに…………」



それはもう、衝撃的………



とは反対の、まあそうだろうなっていうオカズの食べ方。



いちごになりたいって、まだマシな方か。



いや、生まれたがってるからダメかもしれない。



私が無言で身動きひとつ取らずに考え込んでいたからか、望が不思議そうに顔を上げた。



「………！？A！？」



「こんばんは、望」



「こ、これは……っ！」



「いいよ？続けて？」



オカズのおおもとが目の前にいるのに、そっちで欲を吐き出すという……なんか可哀想。



というか、なぜ自分がこんなに冷静なのかわかんないし、



なぜ一人でしてる望を見下ろすという謎のS感を醸し出してるのもわかんない。



「A、A………！」



私の名前を呼びながら、一つ、すっきりした望。



ティッシュで拭こうとしたから、望を煽るように、そこへ吸い付いてみた。



「A！？」



「いっつもこんなふうにしてたんだね？」



「それは……っ」



普段の行為では望の方がSっぽいけど、なんかこう、いじめたくなるというか……。



「私がお手伝いしたら、あと何回気持ちよくなれるかな？」



「ちょ、待ってや……！」



自分の新しい顔を見つけた夜。



「意地悪なAもたまらん………」



多分二度としません。



〆．

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