望くんと彼女。

14-3.ストラップと彼女の所在《望side》 ページ19

〆．



ショックやった。



何がって、なくしたと言うてくれへんかったこと。



なくしたことに、全然気付いてへんかったこと。



実はあのストラップには盗聴器とGPSを仕掛けてて、昨日確かめてたら音も聞こえんし場所も動かんしで



あ、これ落としたんや、って。



それはええの。



俺に、正直に言うてくれへんかったことが嫌やった。



俺のこと、もうどうでもええんかな……。



「はぁ………」



今日はオカズがない。



めっちゃ後悔。



拗ねて、行動できひんかった。



あの一件以降必ずAを家まで送り届けてたのに、



俺の勝手な感情のせいで、Aを危険に晒した。



まあ、無事帰宅したみたいやから………めちゃくちゃ安心したけど。



あ、はい。盗聴してます。体が勝手にね。



「………ん？」



機械の向こうでバタバタと大きな音がして、それからしんと静まりかえる。



AのカバンのGPSは動かんけど、明らかに本人はそこにいない。



突然掴めんくなったAの所在。



俺の体に嫌な汗が流れた。



Aの身の回りにいくつか仕掛けた盗聴器。



ケータイに電話かける？いや、仮にも俺は怒ってるんや。



そう思ったって、不安な気持ちに変わりはない。



すがるように全ての盗聴器の音をかわりばんこに聞いていくも、全滅。



それでも諦めずに探していると、数時間後に一つだけ、Aの声らしき音を流すのがあった。



………ストラップに仕掛けたやつや。



『やだ、見つけるまで帰らないから』



雨の音がはっきり聞こえる。



外におるん？



ストラップのGPSは、近くの河川敷を示していた。



Aが昨日散歩してた場所。



「A…………っ」



俺は、とんでもない勘違いをしてたらしい。



傘を持つ余裕もなく、俺も家を飛び出した。



〆．

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