14-2.ストラップと冬の雨 ページ18
〆.
「……………っ、絶対にこの道なのに、」
昨日歩いた道をなるべく正確に思い出し、辿る。
次第に空は暗くなり、もう日没かと思えば雨が降ってきた。
それでも今、帰るわけにはいかない。
あれがないと、望はもう私を見てくれないと思った。
どんなに大好きだと言っても、伝わらない気がした。
「どこなの……っ?」
冬の雨は冷たくて、体はすぐに冷えてしまう。
寒さに震えながらも、道をくまなく調べた。
どうして昨日、散歩なんかしちゃったんだろう。
望………許してくれるかな。
見つかってもだめ、かな。
望の笑顔を思い出して、胸がきゅっと締め付けられた。
どれくらい探していたなんてわからなかったけれど、時間が経つほどに焦りが大きくなるのは確かだった。
「っ、」
スカートのポケットに突っ込んでいたケータイが鳴る。
画面に表示されたのは『大ちゃん』の文字。
「……もしもし、」
『A?!どこにおるん!!なんか、おかんが……Aが突然家飛び出してったって…!』
「ああ………ごめんね、探し物してて」
『こんな時間まで?こんな雨降ってんのに?!え、どこ?外?』
「外……」
『あほか!!すぐ帰ってこい!!や、迎えいく。場所教えろ!』
「やだ、見つけるまで帰らないから」
『A!!』
無理やり通話を終了させる。
大ちゃんにも嫌われちゃったかもしれない。
それでも、あの不格好な、なんともいえないストラップだけを求めて、
雨に濡れた草や土をかき分けた。
「……あ、あった!!」
〆.
14-3.ストラップと彼女の所在《望side》→←14-1.ストラップとけんか【リク】
3102人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
林檎(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!ニヤニヤしながら読んでます笑更新頑張ってください! (2019年7月16日 22時) (レス) id: 9baa2abd91 (このIDを非表示/違反報告)
みるくぷりん(プロフ) - 私、剣道部なのですが、ほんとに竹刀、防具匂います!クラスの友達にアンタこんなのつけてやってんの!?と、言われましたとさ笑 (2019年4月3日 22時) (レス) id: 5c6cbd628f (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - これ好き (2019年3月8日 1時) (レス) id: b98f2652d5 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - WEST大好きで緑と青とピンク色寄りのオールジャス民です最高です (2019年2月23日 17時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき(プロフ) - 淳太くんと流星が主人公を取り合ってるのが見たいです! (2019年2月22日 22時) (レス) id: 9e0f7d62f9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はゆな | 作成日時:2019年2月14日 19時