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〆.
「私、重岡くんのシャンプーがすごく好き。気持ちよくて、一生このままでいいやって思うの」
「うん」
「なのにいつの間にか、重岡くんを好きになってたの」
「……うん」
「週に一度の、たったひとつだけの、楽しみだったの」
それがないなら、死んでもいい。生きる理由がない。
「重岡くん、私のこと、迷惑だと思ってたんじゃないの?」
「なんでやねんな」
「シャンプーしか頼まないんだよ?」
「そんな客もたまにおるし、俺は嬉しかったで?」
「でも………」
私がなぜそう思ったのかを話すと、
重岡くんはため息を吐いた。
「勘違いは可愛ええけど、誤解されたら俺が困るわ。俺の気持ち、ちゃんと理解して?」
頬を、むぎゅ。
「週に一度の楽しみ。Aとはレベルがちゃうかったかもしれんけど、俺やって、Aに会えるんが楽しみやった」
「…………………」
「シャンプーだけの関係でも、俺は、Aのことを本気で想ってる」
「重岡くん………」
「Aと同じ気持ちやのに、もう、気持ち抑えられへん」
苦しかった胸の痛みが
心地よいトキメキとなって体に響く。
彼が撫でると傷や痣の痛みは引き、落ち着いた気持ちになれた。
「A。俺は、Aのことが好き。俺と付き合って?」
「本当に私でもいいの?」
「当たり前やろ?A以外は嫌やから」
私の人生、この人に委ねたい。
〆.
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作者名:はゆな | 作成日時:2020年4月8日 21時