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〆.
「ただいま」
「うぅ……っ、よお、A………」
「お父さん、また飲んでる……酒代だってタダじゃないんだからね」
「うるせぇ!!」
「きゃっ?!」
お父さんの暴力に耐えかねて、母が私を置いて出て行ったのは数年前。
特に夢もなかった私は高卒でなんとか就職し、
学歴に関してはそういうレッテルを貼られて今に至る。
高卒の何が悪いんだか。
大卒の同期の方が給料が高くて、でも文句なんて言えなくて。
だから学歴なんて気にされないくらい努力した。
なのに、評価なんてされないし、他の会社員とおおよそ同等くらいで人一倍の苦労なんてなかったかのよう。
しかもそうして必死に稼いだお金は全てお父さんの酒代とギャンブルに注ぎ込まれていく。
高校時代アルバイトで貯めていたお金も底を尽きかけていた。
「ったく、親に向かって説教垂れてんじゃねーよ!」
見えないところにばかり攻撃を仕掛けるズルいお父さんのために、
なんで私はつらい思いをしなきゃいけないんだか。
「…………………ごめん、なさい」
重岡くんの笑顔を思い出した。
彼に会いたいから、逃げ出さない。
そうだ。
大丈夫。
私はまだ、自分のために生きていた。
〆.
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作者名:はゆな | 作成日時:2020年4月8日 21時