第7章 記憶の中の奈々。 ページ7
夜、ベッドに入ってから考える。
奈々との思い出はもう無かったことで
僕が好きだった奈々とは別なんだ
だけど、今…奈々を見捨てたら
親もいないから生きていけないわけだ
まず、奈々は僕と暮らしてて楽しいのか?
幸せなのか?
僕はどちらでも無い。
________
「うん、今?凛くんと暮らしてるよ」
奈々はソファに座って楽しそうに
電話越しの相手と話している。
「藍里ちゃんって今度会える?」
僕のことは覚えてなくても
友達は覚えてるんだな
それって結構…変な話のような気もするけど
そういう、脳の後遺症らしい
「藍里ちゃん、彼氏できたの?」
「礼央くん?」
「え?」
藍里って、礼央と付き合ってるのか
ここ1年間、友人関係を無視してたからな
たまには友達と遊ぶのもいいなぁ
礼央は元気にしてるのかな、サッカーしてて
怪我をしたらしいから…もう辞めたのかな。
「じゃあ、来週の月曜日に駅前のカフェね」
________
早く、早く、早く!!
人で溢れかえる駅をただひたすら歩いた
彼女にもう一度会えるなんて夢みたいだ。
「奈々っ!久しぶり」
「あっ、藍里ちゃん!髪伸ばしてるんだ可愛いね」
奈々はあの日あった事故から1年たって目を覚ました。
たびたびお見舞いに行ってたけど
痩せていく奈々を見て、正直…怖かった
もしかしたら明日、いなくなる可能性もあるわけだし
凛はもっと辛かっただろうな
なんか、凛に会いたい…会って謝りたい
もっと力になれたはずなのに
「藍里ちゃん?」
「えっ、ご、ごめん…奈々に会えて嬉しくて」
「ずっとね、藍里ちゃんに会いたかったよ」
「何で?」
「何でって〜、親友でしょ?」
「ごめん……奈々っ……泣きそう」
「ええぇっ!一回どこかに座ろう」
________
幸せであるほど辛いことが待ってるのは
俺も凛もよく知ってる。
「あ、凛!」
「礼央…ごめん急に」
「いーよ近くに居たし、てか凛…相変わらずイケメンだな」
「怪我、治ったの?」
「無視かっ、治ったよ」
少しだけ、疲れた顔してる。
相当、精神的に参ってるのかな、凛ってすぐ1人で抱え込むから
「礼央…ちょっとだけ話を聞いてほしい」
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作者名:そら | 作成日時:2021年1月14日 21時