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『勝己くん…！』
勝己くんは私を守るように前に立ち、上級生達を睨み付けている。
「オイ、女突き飛ばして痛ぶってはずかしくねーのかよ」
「ち、ちげーよ！そいつが俺たちにぶつかってきたんだ！」
「嘘ついてんじゃねーぞ！このハゲ！」
吹っ飛ばされなかった方の坊主頭の子に向かって怒鳴りつける。体は全然彼らより小さいのにその背中はとても大きく感じる。
飛び蹴りで吹っ飛ばされた子が起き上がると勝己くんを見るなり殴りかかった。
「！い…ッ」
頬に思い切り拳が当たり思わずよろけて倒れそうになるけれど、後ろに居る私にぶつからないよう踏ん張り、そのまま上級生達に立ち向かっていく。
(はっ…ぼーっと見てる場合じゃない！わ、私も勝己くん助けなきゃ…！)
「！ おまえは手ぇ出すな！」
『えっで、でも…！』
慌てて立ち上がって個性を使おうと勝己くんの方へ手を向けたらすぐに気づかれ止められてしまった。
自分が絡まれていたというのに体を張って助けてくれた子に何も出来ず、悔しくて申し訳なくて固唾を飲むしか無かった。
ーーー
「くっそー！覚えてろよ！！」
「よっちゃんに言いつけてやるんだからな！よっちゃんつえーんだぞ！」
これが負け犬の遠吠えというものなのか。
上級生の二人組が泣きながら逃げていく。
そして勝己くんは私に背を向けながら握り締めた拳を上げ、もう片方の手でぐっと目元と鼻を拭っていた。
「…ヒーローは最後に絶対勝つんだからな」
ズビッと鼻を啜る音と一緒に聞こえてきた初めて聞く勝己くんの泣きそうな声に胸が痛んだ。
『勝己くん！ごめんね…私が絡まれてたのに…、痛かったでしょう…』
「べつに…これくらいなんともねーよ」
彼の前に回って顔を見るとやはり涙が少し出ている。強がっているのが丸出しだが力の差もある上級生に殴られていたのだから痛いのは当然だ。
真っ赤に腫れた頬にそっと触れると痛がる素振りを見せられるけれど、私に出来る事は今はこれしかない
『ーーー癒しの風よ、ヒールウィンド』
「ん…、…？…痛くねえ…」
勝己くんがふわりと柔らかな風に包まれるとすぐに傷も癒され元の健康的な肌の色に戻る。
『痛くない？ほんと…？よかった…！』
安心して私の方がぽろぽろと涙を流してしまった。
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なさ(プロフ) - 夜月 零夜さん» コメントありがとうございます！まだまだ未熟者ですが頑張ります！！ (2020年2月11日 13時) (
レス) id: f613967be2 (このIDを非表示/違反報告)
なさ(プロフ) - ありささん» ありがとうございます！とっても天然な主人公ちゃんですが気に入っていただけて嬉しいです！ありがとうございます！頑張ります！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: f613967be2 (このIDを非表示/違反報告)
なさ(プロフ) - レーナさん» 返信昨日ある事に今更気付きましたすみません…！応援ありがとうございます！頑張ります！れんこん！ (2020年2月11日 13時) (レス) id: f613967be2 (このIDを非表示/違反報告)
夜月 零夜 - 面白かったです！更新頑張ってください!! (2020年2月7日 16時) (レス) id: 3da7626fa3 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - すごく面白い！主人公ちゃんが可愛い！頑張ってください！ (2020年2月5日 23時) (レス) id: 171cb6aee9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なさ | 作成日時：2020年1月29日 3時
