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-side Abe-
iw［康二の体調が悪いから闇医者に連れて行った。2人分の朝ご飯はいりません］
朝起きたら、グループチャットに送られていた文面。
寝起きすぐのベッド上でそれを見て溜息をつく。
リビングに向かえば既に起きていたふっかといつもより少ない鍋の中身を混ぜている舘さん。
2人と目が合って苦笑いしたのは言うまでもない。
ab「やっぱり時間の問題だったね」
fk「ね。アイツ自分の身体もっと大事にしろっつーの」
康二がいまだにノードクターの仕事を続けていることは今週の頭に照からこっそりと聞いていた。
いや、誰にも言わない深夜外出が続いていると先週の時点で知っていた。
止めなかったのは康二が自身の行動を照しか知らないと思っているのと、状況を考慮して、というのがいいのだろうか。
タイミングを見計らってその行動の意図を聞き出してもらおうとしていたのだけれど、それより先に体力が尽きてしまった。
朝食を済ませてから俺1人で2人のもとに向かう頃にはベッドヘッドに凭れかかりながらも上半身を起こす康二の姿。
椅子に座る照の手にはチョコ味のプロテインバーと紙パックのミルクティーが握られている。
ab「で、康二はなんでノードクターの仕事を続けてたの？まだ患者とは縁が切れてなかった？」
kj「・・・前に叔父さんが予約を受けてた人達やから連絡先は知っとった。
期待しとったのに俺が居なくなったことで治るものも治らなくなるのは可哀想って思って、日付は変えてもらったりしたけど細々と対応してた」
きっと今康二が脳裏で思い出しているのは照が偵察を始めた日から訪れ始めた脊髄損傷の患者なのだろう。
それほどの重傷患者を手術や薬で治すのは不可能だ。能力でしか治らない。
ab「じゃあ、その予約分が終わればノードクターという仕事から足を洗うつもりだった？」
そう聞けば、少し考えた後に横へ首を振った。
俺らに気づかれなかったらずっと仕事を続けるつもりだったのだろう。
kj「タダで治したとて本当のお医者さんの仕事を奪ってたことは申し訳ないと思っとる。
せやから、お医者さんでもどうにもできないものだけ治すの続けてたら、許されるかなって、思ってた…」
語尾が消えていき、そのまま口を噤む。
料金が発生しないのなら康二にとってなんの得もないはず。
それなのにそこまで能力治療にこだわっている理由が分からなかった。
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作者名：紗絢
| 作成日時：2020年11月2日 17時
