SMの初恋 V

ビッヒの初恋？ 3 ページ11

RM side



俺たちの物語は
小さな事務所から始まった



厳しい練習生生活を経て
やっと決まったデビューに浮かれたのも束の間


弱小事務所からのデビューって現実は…

華々しいステージどころか
TV出演すらままならない状態だった



そして、大きな注目を浴びることなく時だけが流れた



大手事務所からデビューした同期や後輩アイドルが
派手な宣伝とタイアップで次々と有名になっていく中


俺たちにできることは
どんな小さな仕事にも真摯に取り組むこと

そして、黙々と曲を作り
ひたすらに練習で汗を流すこと



不安に押し潰されそうな気持ちを誤魔化しながら
ただ前に進むだけだった





そんな日々にも
やっと光が差し始めた





念願だった音楽番組で１位を獲得し
海外チャートにもランクインできるようになったのだ



俺たちはここからだ…


韓国内はもちろん
本格的に海外向けの活動も始まることになった



まずはK-POPとの縁が深く、大規模市場でもある
『日本』での活動に力を入れることになった



すでに日本デビューしていた俺たち


ありがたいことに
日本で応援してくれるファンも増え始めたけど

売り上げや知名度に関しては
正直、思ったほどの成果を上げられていなかった



そこで心機一転

日本でのレコード会社の移籍を決めた

より強力なスタッフ陣を投入し
プロモーションの見直しも図った



その中でパンPDがあちこち探し回り
直々にオファーしたという

コバヤシハジメという日本人男性


エンタメとは無縁の日本語スクールの先生だけど
日本語講師としてはスペシャリストだそうだ




俺たちの曲を
もっと真っ直ぐに日本のarmyに伝えたい


そう思った時に必要になったのは
日本語への正しい翻訳や綺麗な発音で…


army以外の日本の皆さんへのアプローチも考慮して

日本の文化や
日本人への理解を深める勉強もすることになった



まだお会いしたことのないその彼が
今日から正式に俺たちの『先生』としてやって来る









練習室で何曲か通して踊っていると

「お疲れ〜！ちょっといいか？」

マネージャーヒョンの声が響いて振り返る



おっ、どうやらその先生がやってきたようだ



んっ？いや、待てよ。


スーツ姿のスラッと背の高い男性…
初めて見るこの人が俺たちの先生かな？



でも、その隣の綺麗な女性に
明らかな見覚えがあるんだけど…

いや、まさかな、そんなはずないよな。




「お疲れ様です、ヒョン、こちらの方々は…？」

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