雪は舞って闇に咲く 肆

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まだ家にいた頃だが、宮舘は宮舘の父親の前で渡辺に対して友人のように接したことがある。二人は十歳そこらだった。宮舘が自分の存在について、またこれまでの父親からの教育について考え出した頃だった。

しかしそのような態度をとった宮舘を宮舘の父は叱りつけ、あろうことか渡辺を鞭打ちの刑に処した。


それからというもの、宮舘は他人の目がある所では求められるままに次期主君としての仮面をかぶり続けた。


だが、その良心の痛みは日に日に増していき、渡辺と二人きりの時は友人のように、また兄弟のように接した。



そんな我慢の日々にもついに終止符を打たれることになる。

寝込みがちだった母親の容態は悪化し、遂に亡くなってしまったのだ。



そこで宮舘が考えたのは自分がこの家から出ていくことだった。

他人への優しさを教えてくれた母はもういない。渡辺とは別の、心の拠り所がなくなってしまった。


幸いなことに自分の持ち物を幾らか売れば暫く金には困らないだろうし、それならばどこかの令嬢と結婚させられるよりずっと良い。


そう思いつくと宮舘はすぐさま計画を立てた。

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