第19話 ページ20
「碧珠、行こっか。」
『は、はい…似合ってますか？』
今は、私の部屋の前。
私待ちで待っていてくれた秀吉様に着た着物を見せる。
「･･･」
あれ…？や、やっぱり似合わない…？！
この着物は、薄い桃色の生地に黄色の牡丹の花びらが舞っている全体的に淡い色の着物だ。
容姿が容姿なだけに、昔から淡い色の着物ばかり着ていたのが慣れてしまったようで、歳を重ねても淡い色が好きだった。
合うかな…と思いながら着てみたが、秀吉様の視線は明後日の方向。
『き、着替えま──』
「き、着替えないで！あ、その･･･
可愛過ぎるだけ、だから」
『っ……それなら、よかった…です』
「〜！行こ！」
『わ、っ』
顔が赤くなっている秀吉様に手を引かれ、玄関を出る。そのまま庭に行くと、綺麗な満月と星が空に散りばめられていた。
『･･･綺麗ですね』
「そうだね」
いつもは元気な秀吉様が、今はなんだかとても弱々しく見えた。
『…どうかしたんですか？』
そう、気付いたら聞いていた。
秀吉様の瞳が大きく見開く。
「なんでそう思うの？」
秀吉様の問いに、私は素直に答えた。
『いつもより元気がなくって、なんだか…
とても寂しそうだったから…です』
すみません、と苦笑しながら言うと、秀吉様の頬には一筋の涙が光っていた。
「ッはは……！ごめ、ん…みっともない姿見せて…！」
『･･･泣きたい時は、泣いた方がいいってある人が言ってました…。』
何が辛いのか、話してほしい時は静かに抱擁するのが一番いいって菊が言ってた。
だから、私よりもずっと大きい秀吉様を抱き締めた。背中を優しく撫でてあげて、相手の言葉を待つ。
「俺は総大将だから、…皆を引っ張って行かなきゃだめな存在…でしょ？
だから、何があっても弱音は吐けなかった…それが、溜まっちゃったのかも」
そう言って、涙を拭いながら秀吉様は儚げに笑った。
『っ、』
無理して笑わないでください。そう言おうとした時だった。
「もー！僕らってそんなに頼りないのかなー、官兵衛？」
「頼ってみないと分からないな。」
「ったく！秀吉！そんな事で悩むんじゃねえよ！相談くらいすりゃあいいじゃねえか！」
「秀吉様、時には頼ることも必要ですよ。」
──豊臣軍の、皆さんがいた。
秀吉様はぽかーんとしていて、まだ上手く状況を飲み込めていないようだった。
それは私も同じだった。
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マスラ - 初めまして！とても面白いです！続き楽しみにしています。更新頑張ってください！(*^_^*) (2019年2月9日 17時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
奏琉斗 哀 - コメントありがとうございます。そうですよね、秀吉、私も好きです^^* (2018年10月20日 18時) (レス) id: ddcd85e1ba (このIDを非表示/違反報告)
奏琉斗 哀 - ニャン武士(^･x･^)さん» ありがとうございます。遅くなりますが、この後投稿させていただきます。 (2018年10月20日 18時) (レス) id: ddcd85e1ba (このIDを非表示/違反報告)
沖田総司 - キャー秀吉可愛い！ (2018年10月17日 23時) (レス) id: 61bbaa65c6 (このIDを非表示/違反報告)
ニャン武士(^･x･^) - 面白いです！更新頑張ってください！ (2018年10月11日 2時) (レス) id: 3f82ed1d40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏琉斗 哀 | 作成日時：2018年9月22日 21時
