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ココアを二人分淹れて、来客用のソファに向かい合ってケーキを食べる。
「あ、ウマイ」
「ですよね。いろんな雑誌やテレビで特集されてるだけあります」
ケーキをココアで飲み干して甘ったるさに若干顔をしかめながら、私はその後どうなったのか気になっていたことを今なら聞けるかもしれないと思って聞いてみることにする。
「社長、婚約指輪は決まったんですか」
以前この話をしていた時はちょっと気まずい雰囲気になってしまってそれ以来聞けてなかったんだよね。
私の問いかけに社長はフォークを持つ手を止めて、視線を彷徨わせる。
「いや、それがまだ……」
「まだ決まってないんですか？婚約記念日って今月末くらいじゃなかったでしたっけ」
「うん、今月末」
もうあと三週間ちょっとしかない。
オーダーメイドならそろそろ頼まないと間に合わなそうだけど。
そんな私の心の声が伝わったのか社長は残りのケーキを一口で口に詰めると顔をしかめる。
「分かってるんだけど、失敗はできないし、リターンのこととか考えるとなかなか決められなくて」
続けてココアを飲んで、やっぱり社長は眉を寄せた。
「コーヒーでも淹れましょうか」
「うん、お願い」
コーヒーを淹れる間、社長は以前夜食を作った時のように壁に背を預けて私を見ていた。
私にだけ聞こえる様な静かな声で社長は話を続ける。
「実莉は俺にとってビジネスパートナーなんだよ。東金運送とうちを繋ぐための。ビジネスの基本はギブアンドテイク、少しの投資。実莉との関係がビジネスである以上、俺はギブアンドテイクを成立させておきたいと思ってる。貰ったら返す、あげるなら貰う。なぜなら、そうでなければ対等な立場が保てないと思っているから」
私はお湯を注いでポッドを置くたびに社長に目を向けた。
社長はコーヒーソーサーを見つめている。
コーヒーを見ているわけではないだろう。
「もし実莉が本当に指輪が欲しいと思っているのなら、恩を売るチャンスにはなるから渡すのは悪くない手だと思ってる。でも、実際に婚約指輪を見ていると、俺は会社のために結婚するんだなって……ちょっとためらう気持ちもあるんだよ」
あ、これは二宮とか他のやつには内緒ね？
そう言って社長は人差し指を口元で立てた。
こくんと頷いて、私はまたお湯を注ぐ。
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やっち(プロフ) - 続き待ってます❗ (2021年11月9日 5時) (
レス) @page18 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年9月20日 21時
