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社長室に着いたのはそれから数十分ののち。
私が社長室の扉を開けると、来客用のソファでグラスを傾けていた社長の姿が映った。
「恩田さん、ごめんね遅い時間に呼び出して」
「いえ。私もすみません、こんな時間に押しかけて」
「こっちおいでよ」
手招きされて私は社長の隣に腰を下ろす。
テーブルの上には高そうなウイスキーのボトルがすでに一本転がっていた。
「一本飲んだんですか？」
「うん。でも酔ってないから」
「強いんですね、お酒」
半分感心しながら私がそう言うと、社長はゆるゆると首を振った。
「違うよ。飲んでも飲んでも全然酔えないだけ」
言いながら社長はグラスを煽る。
グラスの中身を半分ほど飲み干して、ため息のような息を吐いた。
「……なにかあったんですか？」
聞かずにはいられなくて私は問いかける。
社長の視線が私に向いて、またお酒のグラスに落ちた。
「ご破算になったんだよ。数十億規模の商談が」
「数十億！？」
思わず素っ頓狂な声が出て私は口元を抑える。
そんなに大きな商談だったとは全く知らなかった。
社長が私を見て笑みをこぼす。
「それだけの利益を生むはずだったんだよ、今後。でも、なくなったから、今日」
「……ご破算になったんですか」
「そう。いくつかの企業で競合になってたんだけど、うちは負けた」
ウイスキーを煽る。
グラスが空になる。
私は手を伸ばしてウイスキーのボトルから社長のグラスにお酒を注いだ。
「あぁ、君の分出してなかったね、持ってくるよ」
「いいです。私自分で持ってきます」
「そう？じゃあお願い。飲みたいもの好きに持ってきていいよ。奥の棚がお酒だから」
「わかりました」
私はキッチンから自分の分のグラスと新しいウイスキーのボトルを持って社長のところへ戻る。
その時には社長のグラスはすでに空になっていて、私はすぐさまおかわりを注いだ。
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やっち(プロフ) - 続き待ってます❗ (2021年11月9日 5時) (
レス) @page18 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年9月20日 21時
