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そうか、社長はこうして身近にいる人間の本性を探ってきたんだ。
一人で築き上げたと言えばすごいけれど、きっとその裏では見たくない人の闇や本性なんかをたくさん見てきたのかもしれない。
私より年上と言ったって社長だってまだ若いのに。
「君は一緒にいて楽しいよ」
社長は空のグラスを置くと私の目を見て言った。
お酒の力かすっかり砕けた言葉はすんなりと私の心に入ってくる。
「ありがとうございます」
悪い気はしない。
人に信頼されるのは、気持ちのいいことだ。
「私も社長は良い人だと思いますよ。嘘をついてない音がします」
「そんなことも分かるの？俺が嘘言ったらすぐバレちゃうかな」
「そんなことありません。私の耳にそう聞こえただけです」
「……そっか」
社長が笑みを消して小さく口角を上げたように見えた。
けれどうつむいた顔でははっきりとはわからなくて、私は暗くなった街の夜景に目を移してみる。
「次に会えるのは月曜日ですね」
「はい」
「お店には土日行くの？」
「明日は行きますよ、シフト入ってるので」
「そうなんだ。……ごめんね、遅くまで付き合わせて」
社長が腕時計を見る。
私も自分の時計を見るけど、時間は十時過ぎだ。
「平気です。明日の今頃はまだ仕事が始まって一、二時間ってところなので。お昼まで寝ます」
「そっか。なら安心」
「社長は？おやすみなんですよね」
「うん。だから、一つコンサートを見に行くよ」
「へぇ、いいですね」
仕事中にもピアノの生演奏を聴いて休日にはコンサートに行くなんて、本当に音楽が好きなんだなぁこの人。
そう思いながら「なんのコンサートなんですか」と聞いてみる。
「うちのグループ企業が協賛してるやつで、招待されてるんだ」
返ってきたのはそんな言葉だった。
私はデザートのアイスを口に運ぼうとしていた手を止める。
「それ、お仕事じゃないんですか？」
「仕事じゃないよ。だって休日だもん」
「……そうですか」
それを仕事と言うんだと思いますよ私は。
と口にできるほど私と社長の仲は深まってない。
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iCHiKA(プロフ) - のりさん» のり様、お久しぶりです！お待たせしてました、久々の今回は「キスしたいだけ」でございます。こちらこそ今回もありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。お楽しみいただければ良いのですが。今回もぜひ最後までよろしくお願いしますね！ (2021年9月8日 21時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - キタ。今回はキスをしたいだけのお話なんですね。しかも思いがけず長編連載。ありがとうございますm(__)m 既に続きが楽しみすぎです。あ、こんにちは。お疲れ様です。余談ですが私にも亜由ちゃん同様カワイ子ちゃん(3人)がいますw (2021年9月8日 16時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年9月4日 16時
