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私を見つけるとパッと笑顔が浮かぶ。



「恩田さん、ようこそ」



手を止めてわざわざ駆け寄ってきてくれた櫻井社長は私に片手を差し出した。



「本日からお世話になります」



私も頭を下げてその手を握る。

大きな手がきゅっと私の手を包んで、数度軽く振られた。



「では俺はこれで……あ、社長、東金との打ち合わせは午後一ですよ、お忘れなく」

「わかってる。……そうだ、東金と言えば」



立ち去りかけた二宮さんは櫻井社長の声に足を止めて振り返る。



「二宮、今夜の実莉との食事はキャンセルしといてくれ」

「え、キャンセルするんですか?」



驚いた様子の二宮さんに櫻井社長は「ああ」と頷いた。



「今夜は恩田さんと食事するよ」

「えっ」



今度は私が声を上げる番だった。

突然名前を上げられて驚く私の横で二宮さんが眉を寄せている。



「はあ……まぁいいですけど、埋め合わせした方がいいですよ」

「向こうだって別に俺と食べたいわけじゃないよ」

「そうかもしれませんがね。わかりましたよ」



これ見よがしにため息を吐いて二宮さんは社長室を出て行く。

私はそろりと櫻井社長に目を向けた。



「というわけで、すみませんが夕飯に付き合っていただけますか」

「それは、あの……」

「あ、もしかして予定ありますか?」



櫻井社長が眉を下げる。



「そっか。その可能性がありましたね。無理にではないので、」

「あ、いえいえ!ないです!大丈夫です!」

「そうですか?」



慌てて否定する私に櫻井社長は不思議そうな顔。

いや、勢い込んで恋人の存在を否定する必要はなかったんだけど、なんでだろう、なんとなく。

身体が動いてしまった。



「……その探してる人と言うのは、恋人ではないんですか」

「え?」

「いえ、すみません。踏み込んだ質問はマナー違反ですね。貴女が何も聞かないのに」



櫻井社長はそう言うと書斎デスクに戻っていく。



「そこに貴女用の机を入れました。自由に使ってください」

「……ありがとうございます」



私はおずおずと以前来た時にはなかった新しい机に向かった。

よくわからないけれど、社長いうのも大変なようだ。



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iCHiKA(プロフ) - のりさん» のり様、お久しぶりです!お待たせしてました、久々の今回は「キスしたいだけ」でございます。こちらこそ今回もありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。お楽しみいただければ良いのですが。今回もぜひ最後までよろしくお願いしますね! (2021年9月8日 21時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - キタ。今回はキスをしたいだけのお話なんですね。しかも思いがけず長編連載。ありがとうございますm(__)m 既に続きが楽しみすぎです。あ、こんにちは。お疲れ様です。余談ですが私にも亜由ちゃん同様カワイ子ちゃん(3人)がいますw (2021年9月8日 16時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:iCHiKA | 作成日時:2021年9月4日 16時

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