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椅子の背にもう片方の手を付いているせいでなんだか腕に閉じ込められているみたいになっている。
雰囲気のせいか、ふいに縮まった距離に心臓がどくんと脈打った。
「ビジネスの基本はギブアンドテイク。それに、ちょっとの投資だ」
視線が私を向く。
「私は投資？」
「ギブアンドテイクだよ。あと個人的に、貴女のお願いを聞いてみたい」
笑いながら櫻井社長は言った。
ピアノから手が離れていく、腕の中から解放されて、私は櫻井社長の顔を見上げた。
目が合うと櫻井社長は腰をかがめる。
視線が同じ高さになった。
「どうして……」
「……君の音楽は俺の好きな音楽によく似ている。だからかな。……言っただろ、ギブアンドテイク、それと少しの投資」
にこっと笑った櫻井社長に頬が熱くなった。
ドキドキする感情と裏腹に、頭の中では冷静な自分が待ったをかけている。
やっぱり、櫻井社長が私を指名する理由がわからない。
櫻井カンパニーは演奏者のコンサートなどの開催も請け負っている。
櫻井社長は私よりずっとすごいピアニストと交流があったりするはずだ。
なのにどうして私なんだろう。
「あの、どうして私なんでしょう」
そう言えば聞いていなかった大事なこと、私はようやく口にすることが出来た。
櫻井社長が考えるように目を伏せる。
「うーん、それを言われると申し訳ない気もしますが……二宮が推薦してきたんです」
「二宮さんが？」
脳裏に二宮さんの言葉がよみがえる。
大野A、二宮さんは私をそう呼んだ。
そこに意味があるのだろうか。
わざわざ私を指名する意味が。
「でも、俺は今の貴女の演奏とても気に入りました。ぜひお願いしたい」
櫻井社長の目は真剣に私を見つめている。
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iCHiKA(プロフ) - のりさん» のり様、お久しぶりです！お待たせしてました、久々の今回は「キスしたいだけ」でございます。こちらこそ今回もありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。お楽しみいただければ良いのですが。今回もぜひ最後までよろしくお願いしますね！ (2021年9月8日 21時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - キタ。今回はキスをしたいだけのお話なんですね。しかも思いがけず長編連載。ありがとうございますm(__)m 既に続きが楽しみすぎです。あ、こんにちは。お疲れ様です。余談ですが私にも亜由ちゃん同様カワイ子ちゃん(3人)がいますw (2021年9月8日 16時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年9月4日 16時
