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「貴方、A・オルロックさんですよね」
私は顔を上げないまま頷く。父方から黒人の血を受け継ぐ私の肌は暗い。目立つ私のことを知っているのは何ら不思議なことでもない。
レギュラスは何を思ったのか、私の隣にぴったりと肩を寄せるようにして座り込んだ。驚いたが、反応をする気にもなれなくて身じろぎ一つせずに私は受け入れることにした。
しばらく沈黙が続く。私は顔を上げないまま口を開いた。
「ピアノ。ありがとう」
私とは思えないほど暗い声だったと思う。その証拠に、レギュラスは少し間をおいて、いえ、と小さく返事をした。初対面の彼の前でこんな姿を見せたくはなかった。でも、どうしても今は頑張れないし、顔も上げたくなかった。
「兄さんと、仲いいですよね」
「…うん」
「兄さん、元気ですか？」
さすがにここまで話しかけてくれるのに顔も上げないなんて失礼だろうか。でもきっと、笑顔も作れないし明るくふるまえる気もしない。気の利いた言葉も出てこなかった。
ただ、シリウスは誰がどう見ても元気なので、元気だよ、とまたしても暗い声で言った。これでは印象最悪である。
「…レギュラス・ブラックだよね」
「はい、そうです」
ここまで態度が悪印象な私に対して何も思っていないような声色で彼は返事をした。私はようやく顔を上げる決意をして、彼のほうを向いた。彼の顔はシリウスよりも童顔で、でも目の形や瞳の色、きりりとした眉毛も瓜二つだ。少し、口の形が違うけれど。
「…そっくりですか？」
「…口が違う」
「僕は父似で、兄は母似ですからね」
彼は優しく微笑んだ。その表情は、決して兄を恨んでいるような顔ではなかった。むしろ昔を懐かしんでいるような。きっと慕っていたのだろう。でも彼の家の方針があって、もう兄に甘えることもできないと悟っているのだろう。
私はせっかく顔を上げたのに、一つの表情も作ることができなかった。ただ、彼のやさしい声を聴いて泣きそうなのを我慢するのが精いっぱいだった。
「…泣かないでください」
「泣いてないよ」
私は本当に泣いていない。涙は頬を伝っていない。レギュラスはふふ、とまた柔らかく笑ってほんの少しだけ私に体重を乗せた。彼、こんなに人懐こいんだ。私もほんの少しだけ彼に体重を寄せる。もう口を開くのも億劫だ。彼もそうなのか、そのまま二人でじっと時間の経過を感じていた。
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アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» ありがとうございます！長い作品ですが、お時間あるときに読んでいただけると嬉しいです！ (2023年1月27日 13時) (
レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - キメラ想像したらめっちゃ笑いましたwwまだ読んでいる途中ですが続きが気になって黙々と読んでいます。更新お疲れ様です、応援してます！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - お昼ご飯はモンスターさん» つなぎ目だらけで舌を出すキメラを生み出してしまいました…wご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2023年1月26日 10時) (レス) id: ddc7a24158 (このIDを非表示/違反報告)
お昼ご飯はモンスター(プロフ) - フランケン・アインシュタインはおもろすぎるｗアインシュタインとフランケンシュタインは別物ですよ〜 (2023年1月25日 10時) (レス) @page8 id: be756b31db (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - みーやんさん» ご指摘ありがとうございます！見当たる限り修正しました、ご迷惑おかけします。読んで下さりありがとうございました、これからもよろしくお願いします (2022年12月13日 0時) (レス) id: cfb2af5982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アネモネ | 作成日時：2022年11月26日 20時
