手がかり ページ10
『はぁ...あんた凄いな。どういう仕組みで炎が出てるんだ? ...? 大丈夫?』
いくら話しかけても反応を示さない彼が心配になる。
それどころか、持っていた両手剣さえ落としてしまって、もう心ここにあらずと言う感じだ。
『どこか辛い? 疲れてるなら一旦座った方がいいよ』
優しく手を取り、擦ってあげる。
「...君は、どうして_っ」
顔を顰めて苦しそうにしていた。
『一旦落ち着こう、お水飲む?』
腰にぶら下げた水筒を渡す。
なんだ? この動揺のしっぷりは。
「?___もしかして。僕のこと、覚えてないのか?」
『残念ながら記憶喪失だ...って、もしかして昔の僕に会ったことがあるのか!?』
そう言うと一瞬瞳孔を狭め、唇を噛みしめた。その顔があまりに辛そうで___。
『っ、ごめん』
僕まで口を閉ざしてしまった。
「いや、...気にすることないさ。__そうか」
そう言うと剣を拾い、去っていこうとした。
『ぁ_待って!』
咄嗟に腕を掴む。
『お願い、僕は自分を思い出したい。話を聞かせてほしい、...無理にとは言わないが』
それを聞くと、彼は暫く俯いたあとで「明日、夜にエンジェルズシェアで待ってる」と、それだけ言い残して行ってしまった。
...遠くなっていく彼の背中に見覚えがあった。
〜〜〜〜〜
ガイアside
昨日の話だ。
「ン?」
図書館から出ていく人影が3つ。あれは...空にパイモン、それから?
「! まさか、_いや、まさかな」
そんなわけないだろうと期待を捨てる。
ドッペルゲンガーっていうんだったか、きっとそう言う類のものだ。
決して”あいつ”なんかじゃあないんだ。
と、そう思っていた。
「アンタも連れないなぁ。こんなに旨いモンがあるっていうのに、口にしないだなんて」
グラスを磨きながらカウンターに立つそいつに酒を煽ってみた。
「はぁ、何度も言ってるだろう。僕は酒が嫌いなんだ」
つまんないヤツ...と、目を細めて酒に視線を戻した。
「それに、今日は”何より大切なお客様”が来るんだ。酔ってなんていられないだろう」
「お前がそこまで言うなんて珍しいな。異国の外交官でも来るのか?」
「いや、そんな奴より___ずっと大事だよ」
「?」
扉が開く音がする。
「ほら、噂をすれば」
そいつは、
『ごめん、遅くなった!』
俺が期待し続けたドッペルゲンガーだった。
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ぽんぴー - 数少ない原神BLありがたやありがたや。。そして面白いです。更新がんばってください!!!!! (2022年7月27日 2時) (レス) @page14 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎのくろた | 作成日時:2022年7月26日 0時