100.酔眼朦朧 ページ4
「うっ…」
「もー、置いてくよ。」
あの後真っ青な顔になった銀さんは今と同じように、「うっ、」と一言発すると、びしゃぁぁああ!と吐き出してしまった。
特に何か食べてから飲んだわけではなかった為に随分と酔いが回りやすかったみたいだ。
「うわ。」と声を漏らした私とは対照的にサッと動いたのは桂さんと、周りの攘夷志士さん達で。「しゃねーなー。」と言いながらテキパキとそこら辺を片付けていく姿がなんだか意外だった。
「銀時を頼むな。もうくるでないぞ、橘殿。」と銀さんを私に預けた桂さんはどうやら私たちの思惑を察していたようで。
残念そうな顔をした人たちはいたけれど、特に何も言われることはなく、さっさとその場から追い出されてしまった。外はもうとっくに真っ暗だ。
「…失敗したね。」
「ちょ…まっ…」
「やっぱカメラがダメだったか。」
「おい…」
今にも死にそうな銀さんに肩を貸すこともなくスタスタと歩いていれば、7秒後くらいにドサッと後ろで何か倒れる音がする。
振り返ってみれば案の定道路に突っ伏して倒れている銀髪頭がいて私はふぅ、と息をついた。
「ほら銀さん、早く帰らないと神楽ちゃんが心配するでしょ。」
以前銀さんの看病で夜に万事屋に尋ねた際、新八君はいつも家に帰ってここで寝泊まりしているわけではないことを聞いた。
初めこそ、え?まじでじゃあ神楽ちゃん危なくない?とか思ったりもしたのだが、彼女の強さは身にしみて体験したので、とりあえずそんなことはなさそうなことを理解し。
なおかつそれならば銀さんのような奴のところに居候している方が安全か、と1人納得してしまった。
ふらりと立ち上がった銀さんにサッと肩を貸せば、のしかかってくる体重は割と重くて。私が特段運動神経がいいわけでないことはもう承知済みだと思うので、足がプルプルしてしまうのは仕方がない。
「ほら、しゃんとして。」
それでもここに彼を置いていくわけにもいかず。もしかしたら桂さんが大目に見て流してくれたのだって、彼がいたからなのかもしれない。
そうすると朝方になって銀さんが死体のように道路に転がっているところを見つかってしまえば私の命もどうなるか分からない。
そんなのはごめんだ、と眉間に皺を寄せて一歩踏み出せば銀さんも同じように足を踏み出してくれる。
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narumi(プロフ) - いつと楽しく読ませてもらっています(*^^*)とても続きが気になります♪応援しています! (2021年2月15日 20時) (レス) id: 5cd2b1b9c5 (このIDを非表示/違反報告)
conny(プロフ) - 続き気になる!楽しみにしてます! (2021年2月3日 15時) (レス) id: 9be2d294c2 (このIDを非表示/違反報告)
気空(プロフ) - とても素敵なお話でシリーズ一気読みしてしまいました……! 夢主と銀さんの絶妙な距離感の変化がたまらんです。こういう夢主ちゃんあまり見かけないので巡り会えて嬉しい……陰ながら応援しております! (2021年2月3日 7時) (レス) id: 413d1f6892 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲 | 作成日時:2021年2月1日 20時