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彼女はある男が好きだった。
いつも後ろ髪引かれる思いで彼を探していた。
だが、声をかけてくる中にもすれちがう中にもそんな男はいなかった。
まず、声をかけてくる男は絶対に違うと分かってはいたが。
しかし一度だけ彼だと間違えてしまったこともある。
黒髪で黒い服に帯刀した男。
その男は彼女に声をかけるどころか見向きもしなかった。
彼女は視界の片隅でその姿をとらえた時、周りにいた誰もが、自分も驚くほど勢いよく走り出し、その男をつかまえていた。
だが、その男はかれに雰囲気は全くもって似ているものの外見は全くと言っていいほど異なっていた。
なぜ間違えたのだというほどに。
ーこの方ではないー
彼女は落胆し、わかりやすく肩を落としてその男に一言だけ謝るといつものように歩き出した。
人形のように静かに話さず妖艶に。
でもその日彼女が眠れなかったのは確かだった。その男のせいで。
その全くもって違う男に期待をしたせいで。
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作者名:咲 | 作成日時:2017年1月16日 1時